ポケット モン スター
- 劇場版『ミュウツーの逆襲』 我ハココニ在リ -



03. 早い再会





 -- side サトシ --





根本的にいうと、きっと今って、とっても感動的なシリアスシーンだと思うんだよね。ホントはさ。

ピュアーズロックのコピーポケモンと、泉の水を狙ってロッケト団が、大掛かりな舞台をひきつれやってきた。
そこへたまたまおれたちが居合わせたのは、全部さんが原因なんだけど。

ポケモンたちを人質にとられミュウツーがロケット団の指示に従わざるを得なくなってしまった。
そしてロケット団はポケモンのわざさえきかない機械を持ちだしてきて・・・。
ロケット団とポケモン(+おれのピカチュウたち)による壮絶なバトルがまさにいまはじまろうとしていた。


だけど――


パチン。
空に一瞬、大きな影がよぎったと同時に、空から指を鳴らす音が響く。
小さいはずのその音は思いのほか大きく響きわたり、一瞬でその場にいた全員の視線を集めてしまう。

光を背後にしているせいで、影しか見えないが、おれのリザードンよりはるかに大きなリザードンがその背に人を乗せていた。

夢「ハイ。どーも!みんなに忘れられていたかわいそうなオレです!人質。研究材料……あははは。けっこうけっこう。だけどうぜぇ。ふざけんのもほどほどにしろよ。
なぜならそこのミュウツーはすでにオレと契約を結んでいる!ロケット団だろうが、サァ〜トシクンだろうが、そいつをどうこうする権限はない!!」

そこにいたのはさんと、さのリザードン“トモシビ”だ。

登場そうそうにわけのわからないことをノンストップで笑いながら語るさんに、みんな目がテンだ。

夢「さっき契約書に手形をつけていただきまして、雇用契約は完了しています。用のない方はおひきとりください」

「「「「「は?」」」」」


R「なにをしている!そんなふざけたやつさっさと追い払え!」
R「で、ですが」
R「かまわない!やれ!!」

ビシっとどこにもっていたのか雇用契約書とかかれた書類(謎の足跡が書類の下の方に押されている。たぶんミュウツーの足跡と思われる)をかかげるさんに、呆然とする者、ただしロケット団の幹部はすぐにさんのペースから自分自身を取り戻すと、すぐに部下と手持ちのポケモンたちにこうげきに指示を出す。

そばでふと「そういえばさきほどサインしたな」とボソリと小さな声でミュウツーがつぶやいていたのを耳にしてしまった。
サインって。
サインってなに!?
っていうか、いったいどんな契約を交わしたんだよ!

おれがびっくりしている間にもことは進み、ポケモンやら機械の攻撃を上空であっさりかわした“トモシビ”の背後で、さんがそれは活き活きとモンスターボールを上空へと放り投げた。

夢「機械はオレの下にくだればいい。
ポリー!ハァーイ☆ジャック!!」

どこの変身シーンの台詞だといわんばかりの。きっと語尾にハートとか星とかついてそうな陽気なテンションとともに、ポリゴンの“ポリフェノール”が姿を見せる。
そうして“ポリー”は身体を電気に変えると、機械を内側から壊していく。
煙を上げて爆発していく機械。
小さな通信機一つさえ連鎖するように爆発していく。
そうしてコピポケ(ミュウツーも含む)をとらえていた機械がいっきに破壊されていく。

ねぇ、さん。それ、技じゃないよね。
いつも思うけど。器用すぎない?

夢「ついでに。もういっちょ!“トモシビ”ほのおのうず!おいたをするやつにはてっていてきにやってしまえ!」

あのひとの指示で、巨大なリザードンによる炎が・・・
ほのおが

あっというまにロケット団の機械を溶解させてしまった。
本当に溶けてるよ!?
えええ!?ちょ!?もしかしてリザードンだけですべて終わったんじゃ・・・そんなレベルの炎だった。





シリアスはあっけなくおわった。
おれたちのここまでくるための苦労ってなんだったんだろうって思うほど、あっけなくロケット団の機械は破壊され、さんの無双により苦労と勇気とか感動とかいろいろ塵と化していく。







**********







夢「いるかミュウ?」
ミュ「みゅ?」

破壊活動の後に、ポカーンとしているおれたちをよそに満足そうに、いい仕事をしたとばかりに汗をぬぐっていたさんだったけど、その呼び声ひとつで、幻といわれる桃色のポケモンが嬉しそうに姿を見せる。
ホウオウの“ホウサクさん”を相棒にしているさんだから、別に驚くことじゃないけど。
驚いてたらやってけないってのはよぉくわかってるんだんけどね。
だけどね!!!!
一声かけただけで、でてこないで!!!

ロケット団がねらっていて、世界中にいるどれだけの人間が探してやまないか。
会えることも珍しく、さらには実在しているかも怪しい。
その生物をたかが一声で呼び出さないでよ!!!!

夢「おいこらストーカー。てめぇ、みてたなら手伝えよな」
ミュ「みゅぅ?みゅみゅ♪」
夢「あ?なんだって?ストーキングにいそがしかったとか・・・まじ死ね。まじ滅びろ原点」

その後、淡い桃色のポケモンの首を絞める勢いでつかまえたさんは、それはそれは素敵な笑顔で一言ミュウに命令した。

夢「この泉を隠せ」

ミュウは首を絞められているのにもかかわらず嬉しそうに「ミュ♪」と返事をすると、その力を開放した。

青い青いこの湖の水と同じような澄んだ光が、ピュアーズロックを覆い尽くした。










ミュ2『おわかれだ二度とあえぬかもしれん』

サ「でもまたどこかで会えるよな」
サトピカ「ぴか」

コピピカ「ぴかっちゅ」
コピニャ「にゃぁ〜」



――その後、隠された泉は、ピュアーズロックの奥へとうつされ、人の目が触れることはない場所へとミュウの力によって転移した。
ロケット団一行は、記憶を奪ったあげく、壊れた機械ともども、いずこかの空港に転送させられたらしい。
もちろんすでに集めていただろうコピーポケモンのデータや泉の資料もすべて、さんのポケモンによって抹消されているらしい。

そうしてコピーポケモンたちは、ミュウとミュウツーの力により、ピュアーズロックの外へととばされ、自由な世界を望み旅立っていった。


ミュ2『もしどこかでお前の名をよぶこえがきこえたらふりかえってみるがいい。もしかするとそこにわたしがいるかもしれない』


ミュウツーはそんな言葉を残して、おれたちわかれた。





サ「“振り返ってみるがいい”って。言ってたけど」


夢「よ。久しぶりサトシ」
ミュ2『久しいな』

サ「なんか再会、早かったな」

思わず空を見上げて、ついこないだのピュアーズロックのやり取りを思い返してしまったおれはきっと間違ってない。
蚊阿多の上にピカチュウにポンポンと肩を撫でられた。


夢「あっはっは!オレがミュウに対抗できる奴をスカウトしないはずないだろう!ついでにわかれたはずのコピピカとコピーニャースとたまたま出会ってな、これまた仲間になってもらったぜ!」

霞「ミュウからのストーカー対策にミュウツーをやとうっていったいどういう神経してんの?」
サ「さぁ?」

ミュ2『わたしに聞くな。っと、いいたいが、ミュウから作られた身としては、身内のはじ。なんとか汚名を返上と思ってな』
霞「ミュウツーがなんかすごく俗世的セリフ言ってる!?」

おれとミュウツーは、とんでもはやく。物凄くあっという間に再会した。
なぜなら、あの契約がいまだ有効らしく、さんがミュウツーやコピーピカチュウとコピーニャースを手持ちにしてた。

とりあえず。
ミュウツーとは、今まで以上にいつでも会えるようになった・・・・らしい?





伝説ポケモンの在り方って・・・本当にこれでいいのだろうか。








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