白と赤色の物語
- 銀 魂 -



04.影は光の側に
[アニメより]
第272話「同窓会は思い出したくもない思い出も蘇ってくる」
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攘夷戦争。
そのまっただなかにおいて、当時「かみがり」と恐れられた攘夷志士がいた。
元の意味は、「侍の髪の毛を刈る者」という意味合いだったが、天人との戦争において、その名は意味を変えた。
天人の首をはね続けた結果、彼の名は「神を狩る者」と変化した。
髪の色から「白」と呼ばれていたそのひとは、戦火の土埃舞うなかを駆け回り続けた。
しかし風に長く白い髪をゆらしていたひとは、あるときを境に姿を見せなくなった。

鮮やかな緑の瞳だけが、脳裏に焼き付いて離れない。

あのひとは誰よりも長く生きていたがゆえに、兵士たちをみな自分の子供の様に、その大きな懐で抱きしめてくれた。
命一つこぼすまいと彼は、日々奮闘していた。
それでも無情にも戦争は、命を奪っていく。
そんななかで死んだ兵士たちの数をいつも覚えていた。死者に涙していた。
その涙がこぼれおちた数が、あのひとが取りこぼしてしまった命の数だったことも・・・側にいた自分は知っている。

気付けば、懐にいれて守っていた攘夷志士たちはあのひとの手からするりと抜けだしていく。
それをひとつでもふせぐため、守るためにふるった刀は、敵の数だけで守りたい数をはるかに凌駕してしまった。

いつしか白かったあのひとは、その髪さえも真っ赤に染めてしまっていた。

血を浴びすぎたからと言って、普通は髪が染まることはない。
けれど染まってしまった髪。
長かった髪は、ばっさりと切られ、短くなった。
けれど――その鮮やかな赤色だけは変わらず。

そうして戦の中に血の色を常にまとって立つあのひとは、まるで戦争という哀しきものへの象徴のように思えた。



逆に、戦争の中でも白く輝いていた“彼ら”は―――
戦場で戦う者たちの希望の象徴であり、光だった。

坂田銀時、桂小太郎、高杉晋助、坂本辰馬。

おまじないのように、その名に何度すがっただろう。
そう。僕にとっても。

“彼ら”は




かけがえのない光だった。








 -- side 黒子野太助 --








―――“あの後”のことをきっと彼らはしらないだろう。





戦争のさなか、仲間たちを逃がすために、僕が缶蹴りの鬼をやった。
100まで数えた。
あの、あとのこと。

しっかりと覚えている人がいるはずもないと思っていたのですが、世の中それほど甘くないようで。


僕のことを思い出したとしても。
へたをすると死んでいると勘違いするかもしれない。
いやですね、幽霊じゃないですよ。
僕は、ここにいます。

なのに

「ふふ。やっぱり銀時さんたちはおもしろいなぁ」

銀時さんも高杉さんもどうして僕のことを覚えてくれてるんでしょうねぇ。
嬉しくなっちゃいます。



よく、僕のことを覚えていたなとか思える不思議。

今回銀時さんが僕のことを思い出したきっかけ。
それがこの同窓会だ。
どこかのだれかが、銀時さんたちを陥れるために、僕の名前をかたって同窓会を開いたらしい。
つまり銀時さんたちが危ないってこと。


それを教えてくれたのは、今の僕の上司。

「あ〜黒子野。お前が以前言ってたお前の光だけどな」
「銀時さんがどうかしましたか?」
「うん。そいつなー。なんかあぶないらしいぞ」
「は?」
「弱点ピンポイントでついて、そのまま命狙われてるらしいよ。いけば?」

っと、なんともゆるい上司である。
っていうか、どこからしいれたんでしょうかそのネタは。
むしろ銀時さんの弱点ってお化け怖いとかあれですか?そんなことまでよく知ってますね。
え?歩狩汗・・・くれるんですか。そうですか。
これをなににつかうんです?
缶蹴りのつづきでもしてこいって・・・なんであなた、そこまで詳しいんですか。
歩狩汗はありがたくいただきました。

本当にあの上司が何者だよって感じですがね。
ですが、それは聞かないお約束です。
僕だってよく知りません。

ただ、上司は楽しそうにニコニコしながら、「黒子野は今から別行動だから〜」と他の仲間たちにさらっと告げ、 そのまま僕は職場を追い出されてしまったわけです。


ふ〜。まったく。
本当にあのひとは、状況を誰よりも理解していながら、くわしいことを語らないんだから。
楽しげなあの笑顔からして、この偽の同窓会とやらの顛末もあらかた予想がついているのかもしれません。
ああいうのを愉快班というのでしょうか。
くえないひとですねぇ。





* * * * *





そんなわけで、ただいま僕は、高杉さんの部下だというお嬢さんとおじさんたちを倒しています。
驚いたことに、高杉さんたちの部下は慌てふためく銀時さんたちの様子をカメラで監視していたようですが、本当に銀時さんはオバケとかこわいんですね。
支離滅裂ですよ。

でも。彼だけが僕を覚えていてくれた。
それがどれほど嬉しかったことか。
覚えていないとばかり思っていたから。だかよけい。


ほんとうはもう姿を見せる気はなかったのですが。
呼び止められてしまったので、しかたありませんよね。
持っていた歩狩汗で銀時さんと月見酒ならぬ月見歩狩汗とをしました。
だって100数えた後に、鬼がいぬまに缶をけられてしまったんです。こうなっては缶蹴りはおしまいです。
お嬢さんたちを追い払った後(ただし、しっかり料亭の飯代と部屋代は払ってもらいました。だって僕、歩狩汗は持っていてもお金持ってませんし)、 月を見ながら、久しぶりに銀時さんと会話を楽しみました。





――日が昇る前に。
みんなが起きる前に。

僕という存在を忘れてしまっている桂さんや坂本さんたちの前から姿を消すことにしました。

僕は影。
日のあるところでは、忘れてしまいますよね?


だって。
影はそこにあるのが当たり前で。
なくなるほうが違和感がある。
側にいるから、だから気付かないものなんです。


案外近くにいる方が気づかれにくいんですよね。



久しぶりの同窓会は、思いのほか楽しめました。







* * * * *







明け方だというのに、職場にことの報告をと、僕の背を押してくれた上司のもとへと向かいました。
案の定というべきか、上司は僕が来るのが分かっていたかのように、門の前の塀に寄り掛かって待っていました。

「おかえり黒子野」
「はい。ただいま帰りました」

このひとは、僕が帰るタイミングまでわかっていたのだろうか。
もしそうなら本当に何者だとつっこみたくなります。
ですがつっこみをいれる代わりに、そういうひとだとしょうがないなぁと苦笑で返すことにします。
門の側でたたずむ上司にかけより――

ひらり

僕の視界を一瞬、紫色のなにかがかすめました。

「あれは・・・」
「ふ。きづいたか」
「いまのは・・・どういうことですか?」

フワリと紫の羽織がひるがえり、蝶の模様が、路地裏へと消えていきます。
まぎれまなく、“彼”本人でしょう。
彼の部下の仮装でもものまでもなんでもなく。

「本人がしらせてくれたのさ」

なるほど。“彼”が、似せ同窓会についてこの上司に告げ口した情報源か。
ならば納得だ。

見上げれば、上司からは柔らかなまなざしを向けられ、頭をくしゃりと撫でられました。
相変わらず子ども扱いするんですね。やめてください。・・・・・いえ、いやじゃないんですけどね。

「黒子野、どうだった同窓会は?」

下手をすると僕よりも若くみえる容姿の上司。
けれどその実、鮮やかな緑の目が、その生きた歳月を語るように深い老いを感じさせる。
その表情はとても穏やかで、いい年をした僕らのような大人をみるのとはちがう。それは子をみるのに近い慈愛の宿った表情。

それがくすぐったいのに、撫でられるがままになってしまうのは、僕だけに限ったことではない。

「僕、幽霊扱いされちゃいました」
「ほら、銀時はやっぱり怖がっただろ」
「ええ。幽霊ごっこも面白かったですよ・・・・・ありがとうございます。

――彼らに会わせてくれて」

また会えるなんて、覚えてくれてるなんて思ってもみなかったから、うれしさだけがこみ上げる。

「覚えてだろ。あれはな、約束を守る子だからな」
「はい。銀時さんに。それに高杉さんですね。
まさかこんなに影の薄い僕のこと、覚えてくれているとは思いもしませんでした」
「あ、オレにお前の影の薄いどうのを聞くなよ。匂いや気配でわかっちまうんだからな」
「さすがは神様です」
「だからあがめんなって。もう堕ちちまってるよ」

上司はもう一度だけ僕の頭を撫でると、「冷えるぜ」と門をひらき中へと招いてくれた。

ああ、そうでした。
言い忘れていましたね。
ひらかれた門。そこに掲げられたものをみつめたあと、僕は敷地に一歩足を踏み込み――

「ただいま帰りました」

今の僕の居場所に挨拶をした。







* * * * *







覚えていますか?
流れるような白い髪が、目に入った。
茂みをかけき分けたその先にいた貴方。

あなたは覚えていますか?
いいえ、いいえ。
もうあれは、忘れてしまっていていいことです。



あれは銀時さんたちとの最後の戦場でのこと。





“あのとき”――戦争の真っただ中。缶蹴りをしながら僕らがおとりとなって、攘夷志士の仲間を逃すべく、逃げる道を選んだあの山の中で。

銀「援軍が来る!前だけを見ろ!!」
桂「もう少しだ!そこまでこらえろ!」
坂「ははは。進め進めぇ!しんがりは俺じゃき!気にせずいくがいい!!」
高「振り返るな!すすめっ!!」

仲間を導く、僕らの光。
それに背を押されるように、合流した仲間たちが前へ前へと足を進めていく。

どこまで走っただろう。
どれだけ距離をすすんだろうか。
疲労がピークとなり、なにがんだかわからなくなってきたころ、負ってももう大丈夫だろうと休憩をはさむこととなった。
桂さんたち以外も疲労が目に見えるようだ。
そもそも彼らははじめから負傷していた者たちが多い。それも仕方ないのかもしれない。

潮時だろうか。

木の幹によりかかて目を閉じている銀時さんに礼を言って、仲間たちの輪からでる。
僕は怪我をしていない分、まだ余力があった。
だから僕が敵を引き付ける。
僕は影が薄い分そういうのはむいている。
揺動だって、きっと誰も僕を見つけられない。
僕という存在は影。ならば、銀時さんたちぐらい明るい光に照らしてもらわないと、僕はくっきりと認識してもらえないぐらい薄い。薄すぎると影でいることもできない。
だから大丈夫。

これから向かうところには、彼らのような強い光はないから。

銀「いくのか?」

あらら。起きてたんですね。
すわりこんだまま眠っているとばかり思っていましたが、さすが白夜叉。
幹に寄り掛かったまま、彼はお一かけてくることも僕を引き留めることもなく――

銀「忘れねぇよ」

それが、彼なりの別れの挨拶だったのでしょう。
彼もわかっていたはずです。
誰かが残ってでも追手から、仲間たちの痕跡を消す役目がいることを。そして誰かが敵を別の場所に誘導する必要があった。

大丈夫です。
僕が、守ります。

たとえがこの命が・・・・・・





銀時さんたちとわかれて、敵と何度か交戦しつつ山中を一人逃げ続け、追っ手を誘導していく。
そうして自分がボロボロになるのもかまわずどれだけ徘徊した後か。

がさがさと茂みを描き分け――

『黒子野?』

バリトンきいたいい声ですね。
開けた場所に出た僕は、目に入ったものが信じられず、思わず目を丸くしてしまいました。

そこにいたのは、長く白い髪を風に揺らすひと。
僕たちが潜伏している子の森と同じ色なのに、もっと明るく輝いて見えるその緑の瞳が射貫くように僕をとらえた。

おかしいな。
彼は猿人似の知人が変な勧誘に誘われるのをみて、だまっていられない!と、この戦場には来ていなかったはずなのに。

まるで待っていたかのように、ザァっと勢いよく吹いた風に一瞬目を閉じる。ひらいても彼は消えない。
ツイっと彼の視線が、僕が来た方の森の奥を見つめる。

『あちらはもう大丈夫だ。遅くなってすまない』

それで納得した。

「・・・援軍というのは、あなたのことだったんですね」

彼がいる理由。
それは、彼こそが銀時さんたちが言っていた援軍の正体だからだろう。
彼はひとりでも十分援軍になりうる。
人間じゃないからか、彼が一人いるだけで百人の援軍と同等の成果を得れるのだから。

『そのつもりだったが、やめた。お前のおかげでもう大丈夫そうだ』
「よかった。僕は・・・敵の足止めは、ちゃんとできていたんですね」
『ああ。本当は手を出す気はなかったんだが、だが悪いな。オレは一度自分の懐に入れたもん、そうそう手放せないたちでな』
「いいえ。十分です。あなたが来てくれた。それだけで心強い援軍です」

彼は僕の言葉に『オレひとりだがな』としかりと頷いたあと、僕に手を差し出してきた。
そして彼は僕に言ったのだ。
たぶんこの世で一番欲しいかった言葉を。

『よくやったな』

『お前は一人でよくやった』
「しろぅさ・・」
『だが!黒子野よ。お前はひとつまちがってるぜ』
「し・・シロウさん?」
『忘れた方がいい。なんだその思考回路は。オレは忘れたくないし、忘れてほしくない派だが。
まぁいい。それより、そんな終りじゃつまらないだろ。
どうせだったら・・・そうだな。実はずっと“ちゃっかり側にいました”というオチの方が、面白いと思わないか?』
「のこれ、ますかね?」
『ばーか。残るんじゃねぇ、生ってのはな勝ち取ってナンボなんだよ。オレがいる。お前もいる。敵からあいつらを逃がすには十分だろう』

本当は敵一人、僕だけで同行できるとは思ってなかった。
下手をすると彼らともこれが最後かもしれないと思ったものだ。

だというのに、いまはどうだろう?

同じぐらいの年齢にしか見えないのに、目の前にいる白いひとがいるだけで。
それだけで、もう大丈夫だと思えてしまう。

その力強い目に、一瞬泣きそうになった。

だけどまだはやい。
なくのは、この戦争が終わってから。
僕が僕の役目をはたして。それで――

「親父さん、僕は。僕は・・・またみんなの笑顔が見たい」
『フッ。叶えてやるよその夢』

神様。
あなたはおちているとわらうけど、やはり神様らしい。
願いをかなえてくれると言われ、舞い上がってしまう。

彼が何か言っている。
犬?
犬は嫌いって・・・ああ、貴方は猫神でしたもんね。

僕は、それでもいいんですよ。

『―――そういう立場になる。わかってるのか黒子野。この手を取ったら、お前はあいつらの敵になる。それでもよかったらオレと共にこい』

「はい!」


迷いなんかなかった。
泣きそうな声で、それでもすがるようにその延ばされた手を取った。





そのあと、僕は彼の手引きで、この過酷な戦争を生き延びることができた。



あのときの出会い。
まさにキセキでしたね。ねぇ、親父さんもそう思いませんか?

―――伸ばした手の先。

そこのひろがるのは、ターミナルを見上げる江戸城下の町並み。







* * * * *







「ふふ。懐かしいですね」
「なんだよ黒子野。上機嫌だな」

壁の向こうへ消えた派手な紫の羽織。
きっと高杉さんでしょう。
それに気づいてしまったらおかしくて、さらにその記憶に連動してひきずられるように思い出した戦場でのこと。
あのときのことが重なって、思わず顔に出ていたようで、上司に笑われてしまった。

だってあの羽織り、僕しってますよ。
それはあのひと、坂田銀時の父親“シロウさん”が、作ったもの。
戦場で白かったあの長い髪は今では短く切られ、いつの間にか真っ赤に染まっていた。それを江戸に来てからは黒く染めている。
もったいないけどえ異端視されるよりはいいだろう。
その彼が以前仕事の合間に浴衣を縫っていたことがある。
手作りなのだと、お祭りの時に万事屋の女の子のためにせっせと浴衣を縫っていた。
だけど土方さんがそれを渡したそのひとは――

さきほど照れているのかこっちに顔をも見せず去っていた。

「高杉さん、意外と昔の仲間のこと大好きですよね。僕なんかのことまで覚えてくれていたみたいですし」
「だれかがゴリラサイズって言っていたが、意外と着れるんだな」
「ふふ。裾上げしてもらった可能性はありそうですがね」

上司は高杉さんが消えた路地の方をじーっと見ながら、感心したようにうなずいた。
羽織りじゃなくて普通に着物のはずだったといういわくつきなんですよねアレ。
それ、僕も聞きましたよ。
たしかシロウさんがサイズにこまったあげくフリーサイズでだれでもきれるようにと、真選組のあのいかつくてごっつい隊長のサイズでつくったのだとか。

「やりすぎです」
「まぁ、頑張ってきてます缶ハンパナイがいいんじゃないかあれはあれで?」

背伸びして悪ぶった子供にしか見えないけどなと笑う上司に、本当にこの上司弾ものじゃないなと思ってしまう。
今は時めく極悪人となってしまった・・・昔の僕の光たち。
いえ、彼らがニートしていようと無銭飲食していようと、中二病わずらっちゃおうときにもしませんけどね。
彼らが生きている。
それだけで僕には十分ですし。

ああ、そうだ。
今日のこと、お礼言い忘れてしまいましたね。

「でもさすが高杉さんですよね」
「ん?なんだ黒子野。お前もああ(中二病に)なりたかったのか?」
「ちがいますよ!あんな派手な歌舞伎者になりたいんじゃないですって。
僕が言いたいのはですね、偽の同窓会やるって教えてくれたの高杉さんでしょう?って思って」
「あーそれな。あいつ去り際になんて言ったと思う?「部下が影でこそこそしてるのもわからねぇ―ようなバカはテッペンには立てねぇ」だとさ。子供がなに大人ぶってんだかねぇ」
「貴方からみたら人類みな子供じゃないですか」
「つっこむのはそこかよ。
まぁ、それはいい。わきにおいとけ。
それよりよく考えろ黒子野。 あいつがお前の名前や存在感が薄いことを部下に言わなきゃ、こんな同窓会じたい企画されなかったってことだ。真実の企画人はたぶん晋助だ」
「それこそ。どういうことですか?」
「お前らが再会するように誘導したのはオレだが」

真犯人はあなたでしたか!?
だから上司、貴方は何者なんですか。僕はそのことに一番びっくりしてます。

「だからなー、まずは別のところで二つの意思が動いていたってことだな。
第一はまたこ嬢たちの罠。
しかしあの三馬鹿トリオをそろえようとしたのは間違いなく晋助なんだよ。 状況から考えて罠をはったのはたしかにあいつの部下だが、それは晋助の言葉に誘導されたに過ぎないってことだ。
しょせん部下たちの自立的独断にみえるが、裏は糸で操られていたってことだな。
まぁ、晋助の意図が、無意識か、様々な結果がたまたま結び合って同窓会なんてものになったのかは定かじゃねぇがな。
晋助からしたら、ただたんに「背中をあずけた友人」のことを思い出して、会いたいなとおもったのが口から洩れただけかもしれないがな。
まぁ、そのへんはオレのしったこっちゃない。
黒子野には悪かったなと、やつが言ってた。それから考えるにたまたまが重なったあげくのキセキ的なコラボだったのかもしれね。 晋助が銀時暗殺計画(部下たちのマル秘)情報をこのオレに知らせにきたぐらいだ」

さすがと言えばいいのか。
そもそもにしてなんでこの上司に高杉さんがいろいろ語っているかのかという疑問がわく。
いえ、まぁ、なんとなく理由はわからなくもないんですけどね。

それにしても本当に、このひとはどこからそれだけの情報をかき集めてくるのか。
僕、ちょっと存在意義を失いそうです。

存在意義。
あ!そうでした。
今日はいろいろあってすっかり忘れていました。

「ところで、ひとついいですか?」
「ん?」

「今度の――」

すっかり報告を忘れていました。
お仕事です。
これからは“知人”ではなく、上司と部下と接しなければ。
こういうとこはしっかりしなければいけません。

「・・に、“山崎隊長”が、××に潜入するらしくって。僕もついていっていいですか?」
「おーいってこい。お前ら“監察”には、他の奴らよりも面倒事押しつけていつも悪いな。そのうちなにか奢る。そう山崎にも伝えといてくれ」

「はいわかりました―――


土方“副長”





―――あの戦場で拾われた僕は、江戸にいこうとしている彼らにあった。

『実はこれからオレたちはしょせん幕府の狗と呼ばれる立場になる。あ?もちろん犬なんか呼ばれるのはごめんこうむりたいがな。うちのボスがさ有り余った力を守るために使いてぇんだと。
そうすると攘夷志士のやつらとは敵対関係だ。それでもよければ一緒にきてくれないか?』

延ばされた手は江戸へ続いていた。









すこしばかり長話しすぎたようですね。
門をくぐり、ただいまもどりましたの挨拶をして、私服だった着物を脱いで、彼とおそろいの服を身にまとう。

これを着るだけで、気分が切り替わる。

『いけるか黒子野?』
「はい。まってください副長」
『頼みたいことがある。山崎たちと先行していってくれ』
「御意」

今日も我ら監察の出番ですよ。
頑張ってください山崎さん。
ええ、もちろん。僕も頑張らせていただきます!



さぁ、報告書を出したら、つぎは副長たちの番ですね。
準備はいいですか?
しっかり百を数えたら、そうしたら


―――71、72、ななじゅうさん・・・・ひゃぁーく。






























【後日談】
黒「銀時さんがしったらきっと、とてもびっくりするでしょうね」
土『そりゃぁそうだろうよ』
黒「だから昨日も言ったんですよ僕。“僕のことは忘れてください”って」
土『それで忘れられるくらいには存在感薄いからなお前』
黒「いやですね。それ褒め言葉ですよ」
土『いやでもな・・・まさか』



近くにいすぎるから、銀時にばれたらヤバイ。だから“忘れてほしい”。


土『――なぁんて・・・そういう意味合いだとは、きっと誰も思わねよなぁ』
黒「まぁまぁ。僕を動乱の世の後に広がる光の中に引っ張り込んだのは貴方ですよシロウさん」
土『警察(=犬)で、あげくお前は監察だぞ?どこが光の中なんだか』
黒「ふふ。僕にとってはここは十分あたたかい光の中ですよ」
土『おまえがいいならいい。お前らが気はずっと笑ってればいいんだよ』
黒「はいはい。でもそのためにはまずは世の中よくないといけませんね。ねぇ、土方さん」
土『だからオレらの出番だろ?』
黒「ですね」

『「いきますか」』



「御用改めである!」



真選組の真選組のお出ましだ!








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