31.その正体はいかに |
[アニメより] 第45話 愛犬の散歩は適度なスピードで ハーイ。ドーモ。 食卓過去びながら、きっとウフフフアハハとだべっているそこの皆さん、こんにちわ。 銀時です。 ある日、外から家に帰ってきたら、定春が巨大化していました。 これ、ドウイウコトだと思います? -- side 坂田銀時 -- 定春が巨大化した。 それから神楽が、おれのいちご牛乳を定春に与えた。 定春も好きだからとかって、そんなのない。 だって、それおれの。 あー・・・おれのエネルギーが。 まぁ、いいけどよ。 そうしたらさらに定春が巨大化した。 だから言っただろう。カルシウムをよけいに与えるからいけないんだって。 昨日枝豆と交換した犬語翻訳機をためしてみたら、神楽がジャンプの人気投票で7位だったのが、定春にばれていた。 しばらくその犬語翻訳機で定春に会話を持ちかけていたが、なんというかまっとうな文章が表記されず、翻訳機に三人で八つ当たりした。 そうしているうちに、なぜか定春がさらに巨大化し、家の屋根をつきやぶってさらなる巨大化を遂げた。 それ以上の巨大化はなかったものの、屋根から突き破って顔が出ているだけの状態だったので、定春は身動きができなくなっていた。 それから、定春巨大化事件が原因で、うちはテレビに放送されてしまった。 それで定春の前の変え主と名乗るおかしな姉妹があらわれた。 どうやら定春て、狛犬ってうらしい。 突然現れた巫女の姉妹いわく、あいつらがウチの前に置いていったらしいことが判明した。 そして定春の正体も。 狛犬は光脈というものを守る一族で。 ってぇーそれは定春じゃなくて、あの巫女姉妹だったか。 どっちだったか。 まぁい、いい。 そんな感じの生き物で、赤い果実と牛乳・・・つまるところいちご牛乳を与えると、覚醒して狗神という凶悪な攻撃的な生き物になるらしい。 なに、それこわい。 だからあれほど銀さんのいちごミルクはやめてーって言ったじゃん。 銀さん、きっと悪くないよ。 ねぇ、そうだよね!? だれか銀さんのせいじゃないと言って!! 定春くんが壊したもんの賠償金は、うちもちじゃないと言ってーーーーー!!!!! * * * 定春は、近所の奴らに化けもの扱いされ。 雨や、石を投げられ、それから傘で神楽が定春を守っていた神楽が、ご近所さんに石をあてられたことで負傷し、それを見ていた定春が怒りを覚えて―― もっと巨大化し、さらには凶悪化した。 暴れた定春は、暴走するままに、道路を走り、大江戸ドームへと向かった。 神楽がそのシッポにはりついて止めようとしていていたが、あの怪力でもとめることができないほどどだった。 途中、交通速度規定方に反し、はやすぎる散歩をしたと真選組のパトカーがおいかけてきたらしい。 そんな信施組の包囲網でさえ突破して大江戸ドームにたどりついた定春のもとにおいついた。 1分なんとかしたら巫女姉妹が、あの暴走を封じると言ったのだが、ふざけたような舞だか阿波踊りモドキだかを披露し始め、思わず新八と一緒に「ふざけてんのかよ!」とつっこんでしまい、その呪法とやらは1からやりなおしになったらしい。 せめてあの姉妹が何とかするまでの時間稼ぎをと、木刀をふるうも、神楽の「やめて」という声と今までの定春との思い出がよぎり、目の前の凶悪な生き物にふりおろすまえに手が止まってしまう。 その隙を突かれ、定春の長い爪と強力なパンチでふきとば―― 銀「ん?」 吹き飛ばされる! しかし、その衝撃が来るのを待っていたが、いつまで待っても衝撃がこない。 夢『うーん。でかいなぁ』 銀「え」 新「シロウさん!」 楽「シロウ!?」 きつくとじていた目をあければ、おれと定春の間に一人の男がたっていた。 真選組の黒い制服に身を包んだ土方十四朗は、そのでかさに感慨深げに定春をのんびりながめている。 なにがどうなったのだろうとみていると、定春は大きくふるおうとした腕をもちあげたまま、それをふりおろすことができないようで、まるで金縛りになったように土方を見つめたまま動きを止めている。 銀「とうちゃ、じゃなくて・・・え?なんで、土方君がいんの?」 夢『なんでもこうも。巨大な生き物が暴れてるっていわれて真選組に収集かかって、しばらく前からドームの近くにいたが?』 銀「っていうか危ないから!あぶないから大串君!!いまにもまえあしがおちてきそうだよ!!」 夢『なぁ、銀。さっきうちんとこのパトカーをそこの定春君が破壊してたんだけど、賠償請求ってどこに請求すればいいと思う?』 楽「その前にワタシ、おまえのところの茶髪にバズーカむけられたネ」 夢『そうか。 おい総悟。おまえ、またバズーカ改造しただろ』 新「ちょ!それより土方さん!!うしろっ!うしろー!!!」 ギャーギャーと俺達がわめいているのにたいし、なんでこのひとはいつもマイペースなんだろうねっ!? 金縛りが解けたのか、定春が牙をむいて、こんどこそとばかりに勢いよく腕を振り下ろし、土方にかばわれているおれたちごと土方に攻撃しようとする。 っが、 夢『待て』 たった一言だった。 定「ガッ!!?グルルル!!!!」 夢『定春。“待て”だ』 「「「「え」」」」」 その一言で、定春が動きを止める。 苦しげにうめき、振り下ろそうとしては手を引っ込める。 逃げ出そうとするように体をよじろうとするもなにかに縛られたように小さくみじろくだけしかできず、のどからは警戒と苦痛まじりの小さな唸り声が零れ落ちるだけ。 定「グゥゥゥ!!!!!」 夢『ん。おまえ、何食ったらそこまででかくなんだ?これじゃぁあいつらの食費も大変だろうに。せめてもとのサイズぐらいに戻ればいいのになー』 はっきりいって土方君はなにもしていない。 ただまっすぐにその緑の瞳が定春をとらえているだけ。 ただ、その瞳は鋭く細められ、相手に物言わさぬ雰囲気がある。 それに土方に慣れていない巫女姉妹が、軽くあがりかけた悲鳴を必死にのみこんでいる。 報道陣、真選組、やじうま。 やつらが息をのんで見守る中、土方が口を開く。 夢『定春』 ――“よんでるぞ” みんながお前を呼んでる。 その言葉に、神楽が定春の名をよぶ。 家に帰ろうと、新八も呼びかける。 銀「そうだな。おい、あばれんじゃねぇよ。どんなでかくてもいいから帰ってこいよ定春」 俺達のその想いを届かせようとするように、土方がまたあいつの名を呼んだ。 さ だ は る。 それだけだった。 たったそれだけで、苦しげに咆哮をあげた定春の身体が青くひかり、一瞬おれたちの視界までをも埋め尽くす。 少したって光が消え、ようやく目を開けるようになったときには、おれたちの前には、いつのものサイズにもどった定春がぐったりと倒れていた。 それは一瞬のこと。 ついでにいうと、光が消えたあと、何がどうなったのか理解が追い付けず呆然としていたおれたちや報道陣たちそっちのけで、真選組と土方さんがなにもなかったかのように「はいはい危ないんでやじ馬どもはさりなせぇ」「ほら散った散った」などと、平然と民間人を誘導していたのに、なんかいろいろつっこむ気が失せたりしたもんだ。 っていうか、こんなあっさり解決するとかどうなの!? もう、おれたちの苦労はどうなるの!!!! * * * 楽「銀ちゃん。前々から普通じゃないとは思ってたアルけど、銀ちゃんのパピー、何者ネ?」 銀「普通じゃないの代名詞の夜兎族にまで、普通じゃないって言われた」 新「いや、でも本当にあの状態の定春を言葉だけで身動き止めさせるって・・・いったい」 無事に元に戻った定春にだきついていた神楽が、聞いてきた。 思わずその発言に賛同しかけたおれは悪くないはずだよ。 その答え、おれもしりたいよ。 ああ、うん。 そうね。本当にあのひとなんなんだろうね。 おれもよくわかんねぇよ。 むしろ人間じゃネェよあの威圧感といい迫力といい。 あ、いや。そういえばあのひと、もとから人間でさえなかったけど。 ネコだけど!? 猫だけど。 だけど、ねぇ。 【後日談】 夢『え?オレのこと?オレ、元上位神だけどそれがなにか?』 新「ん?あれ?えーっと、いま。“じょういしし”って言ったんですよね?そうですよね。そうですよねぇ。神様とか。そんなわけ。すいません聞き間違えちゃって」 銀「ははは。やだなー新八くん。シロウが攘夷志士なんてもうみんな知ってることじゃないか」 夢『いや“じょういしし”じゃなくて、神って書く方の“じょういしん”な。』 新銀楽「「「・・・・・・」」」 夢『神から妖怪にまで堕ちちゃぁいるが。 まぁ、そこらの狗神よりはまだまだ現役だぜ』 やだ、もう。 やっぱりふつうじゃなぁーい! |