字春が海賊になりまして |
【 ギャグ ルート 】 〜 side 春に成り代わった字 〜 隼「春の衣装よはいれ!」 慌てすぎるのもほどがありますよ隼さん。 はい、みんなの弥生春だよ。花さんって呼んでね。 え?春じゃないのかって? あ、春っというのは、オレの芸名で、家族や私生活では「花」って呼ばれてます。 さぁて、そんなオレが、今回もダイピーンチ。 オレは転生者です。転生する前もした後もいつも思うことが一つあります。モフモフってなんて癒しなのだろうってこと。 だけど転生回数を重ねたせいで魂が格上げされてしまったらしくて、基本的に動物という動物、っていうか生き物には逃げられる。 なぜか猫だけが逃げない。 たまに隼が召喚してくれる魔界の生物も・・・逃げるか逃げないかは五分五分だけど、それでもけっこうな確率で触れることができる。やっぱり怯ええて逃げらる方が多いけど。 つまりオレの癒しは、ぬいぐるみしかない。 だってぬいぐるみはモフモフだけど、オレをみても逃げないじゃないか。 都合がいいことに、この芸能プロダクションは、マスコットとして人形を売り出している。 おかげでオレは、超巨大なモフモフをゲットできたわけだ。 だがしかし。 そんな大事な3月の特大ツキウサ人形が、目の前で無残な姿をさらしている。 なにがどうしてこうなったかというと。 ご飯を食べて部屋に戻ってきたら、オレの部屋が荒らされていた。 最初はまさか泥棒か!とか、始のしわざかとか思ったけど、犯人は優雅にオレのベッドで大の字になって寝ていた。 字『くーろーーーだぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!!』 そう超巨大のウサギの黒田だ。 オレの声に慌てて飛び起きた黒田が踏みつけたあげく、その勢いでツキウサはビリビリビリっとやぶれてしまったのだ。 字『あぁぁ!!!!お、オレの癒しが!モフモフがぁ!!黒田ぁ!!!!!』 さすがにまずいと思ったのか、いつにもないいきおいで黒田は脱兎のごとく逃亡。 責任とってとは言わないから、お前オレのツキウサに謝れ!! 腕がちぎれ、おなかの裂け目からは中身の綿があふれたウサを抱えながら、黒田を追いかけた。 そんな感じでいつものように、その段階では普通に寮の中にいたはずだったんだ。 だけど、黒田を追いかけているとき、なんだか眩しいなぁとおもっていたら、廊下に床というか地面がなくてね。 ひょえ〜と思ってる間に、そこにおっこちてしまったんだ。 おちたというかはまったというか。 ツキウサ(特大)を抱いていたせいで、全身が落ちることは免れたんだ。けれど、穴というかそのキラキラしてる謎の亀裂に下半身がはまってしまった感じ。 なんとか抜け出そうとするんだけど、ウサがつっかかってぬけない。 そんなオレの情けない悲鳴を聞いて、慌てて隼が駆けつけてきて、手にしていた鞄におまじないをかけて、それを放り投げてくれた。 ぶっちゃけていうと、顔面に影が落ちたというか、かばん?ががんめんにぶつかったことで、そこからオレの記憶はない。 鞄に細工をして放り投げより、手を伸ばして穴から引きづりだしてほしかった。 顔面で鞄をキャッチしたせいで気絶しちゃったみたいだけど、どうやらそのあとツキウサ(ただし特大)人形と鞄と一緒に穴に落ちてしまったみたい。 次に目が覚めた時、オレがいたのは海の広がる異世界だった。 まぁ、おかげで着替えをもって異世界に行くことができたのは、たぶんよいことだ。 だけどね。 隼、渡してくれる時に慌てすぎて、「春の衣装」って言ったんだよね。 あ、みんなも覚えてる? つまり 字『鞄の中から出てくるのがすべて、衣装ばっかりです』 「春の衣装よはいれ!」じゃなくて、「春の着替えよはいれ!」って言ってくれればよかったのにと、ちょっと思ってます。 まぁ、下着とかはしょうがないから、こちらの世界のオレ、もとい“ハル・ヤヨイ”から借りてます。 凄く嫌そうに貸してくれるのやめてほしい。 平行世界のとはいえ、同一存在なんだから快く貸してくれてもいいのにね。 だって着替えないんだもん、しょうがないじゃん。 どうやら、あのキラメく穴は、隼があけたままふさぐのを忘れていた次元の穴だったみたいで、その穴にオレは落ちて異世界にきてしまったらしい。 まぁ、よくあることだから問題ないよ。 感覚的にオレの魂の半分は、ちゃぁんとあちらの世界でピチピチしてるから問題なし。 というか、どうも肉体が完全じゃないみたい。 なんというか、一緒におっこちてしまったツキウサ人形に自分が憑依した感じ? 姿が安定しないんだよね。 ツキウサに変身するって意味じゃないよ。 弥生春の姿のままなんだけど、こうフワフワっとしてる感じ。 そこに存在してるんだけど、ちょっと現実味がないというか。 だからおまじないのかかった鞄からでてくる衣装なんかを着てしまうと、存在がその衣装にひきずられるられる。 たとえば、兎王国の時の衣装をきると、耳と尻尾がまじではえる。つけ耳でもニセモノのシッポでもなく、本物。 夢見草の衣装を着ると髪の毛が伸びる。 ケモ耳のついたカチューシャがあったからつけてみたら、本物になっちゃうし。あ、でもとろうとおもって耳を引っ張るともとのカチューシャに戻ったってこともあったよ。 他人がやるんじゃ何も変わらなかったけど、オレが望めば・・・まぁ、ある程度は融通がきくみたいだった。 帝国の衣装をきたら、みんなに「裏切り者だぁ!!!」と言われた。解せぬ。デバイスであおさを召喚して、言ったやつを海に落とした。 太極伝奇の衣装を着たら爪がのびるし。 妖怪の衣装の時は、鏡をとおしていろんなものが見えて楽しかった。 レインコートは小さい子向けに作られたものだから、レインコートを着るとそれが似合う年齢――だいたい小学生ぐらいかな。10歳かそこらの年齢になってしまうし、羽根がついてたからマジでとべるようになっちゃったし。 さすがに【恋忘草】の撮影の時の衣装は、うん。あれは、さすがにない。 だって動きづらいでしょ?え?なんか違う?じゃぁ、本物の西陣織で高いから・・・え。それもちがう? まぁ、とりあえず、「綺麗なお姫様俺とお茶しない?」とそのときたまたま交戦していた海軍Procellarumの海兵ヨウにウィンクつきで口説かれるし、「目のやり場に困る」とかわけのわからないことを仲間にもいろいろ言われたので【恋忘草】の衣装はもう着ない。やっぱり重いと動きづらいしね。 ちなみに、鞄の大きさと出てくるもののサイズや容量は一致しません。 さすが隼のお呪いがかかっただけはあるよね。物理的法則無視とか。もう笑うしかない。 しかもランダムで衣装だけが出てきます。 さて。オレが異世界に来た理由やら謎の鞄については、この辺にしておこうかな。 それではこの世界について話そうか。 この世界は、とても海がひろくて。 ほとんどのイベントも争い事も海で行われることが多いため、政府は海軍を作ってとりしまってるらしい。 ちなみに平行世界というだけあって、SIX GRAVITYもProcellarumのメンバーも全員いる。 もちろん、オレとおなじ存在“ヤヨイハル”もばっちり。 グラビのみんなは、ハジメがひいきる海賊船。 うん。この世界のグラビが海賊で本当によかったよかった。 もしグラビが、海軍側だったら。なんて考えただけでゾッとするよね。オレが海軍とか有り得ない。 そうだとしたら、オレ、気が狂ってたかもよ。 間違いなく死ぬ気で海軍とか抜けだしてた。 * * * * * この世界で、オレのことはウサギさんか、ウサハルさんとよばれている。 一番最初に兎王国の衣装を着ていたのが原因である。 ま、春が二人だとややこしいから、別にいいんだけどね。 春「ちょ!?ウサギさんやめてよ!そんな格好で甲板をうろつかないで!オレと君が勘違いされて、オレが変な目で見られちゃう!!」 字『えー。そんな格好って、オレ、別の世界の君だよ? つまり弥生春が着てるんだから、君も似合うって。うん。大丈夫だよ。 あ、ハルも卵食べる?いまならいくらでもこの籠から卵が出てくるよ』 同じ顔だからか、ハルがすごく服に関してはうるさい。 本日はイースターのときの不思議な感じのパステルカラーの衣装です。 オレンジの帽子をかぶれば、あら不思議。耳と尻尾が生えました。 そんな格好っといわれても。これでカメラの前に立って、これでファンの皆様の前に出たし、みなさまからは歓声を頂けたので問題はないのでは?と、思う。 ああ、でも。うちの会社、やたらファンシーな衣装が多いんだよね。 悩んでたら、耳がヒョコヒョコゆれた。 それをハジメ・ムツキがジーっとみつめながら追いかけてくる。 っで、気を抜いていたせいか、いつの間にか背後を取られ――ぐわしっとハジメに耳をひっぱられた。 痛い。 そんでもってわさわさと撫でられた。 くすぐったい。 うん、そろそろやめようか。 むしろやめろっ!! 字『ちょ!?やめてよハジメ!帽子についてるんじゃなくて、帽子に穴をあけて耳を出してるんだからねこれ!』 始「ゆれていたから悩みでもあるのかと」 字『まって。ねぇ、まってハジメ。なんでそれでつかむの!?痛かったんだからね!というか目をそらすな、おい』 こちらの世界のハジメさんの視線がとても痛いです。 触りたいんだろうか? というか今にもニギニギしそうなその手はやめてください。 何度も言いますが、ひっこぬけません(汗) これは本物です。 葵「あ、あのウサハルさん!その卵もらってもいいですか?まだ陸まで結構あって」 字『はいどーぞ。朝目玉焼きにしてみたけど大丈夫だったよ』 葵「アラタ!やったね!卵いっぱいもらったよ!」 新「お、おう・・・え。まじ?それ食べんの?どうみても虹色なカラフルの卵なのに?」 あと、ついていた籠からは無尽蔵に卵が出てきた。 一定個数必ず籠に入っているのは、あれか?撮影でつかったときの影響だろうか。 念のため、割ってみたけど。普通の卵で味も問題なかったので、アオイくんのご期待に応え調理場においておくことにする。 カラフルなたまごだなぁ〜(遠い目) 黄身は黄色だった。 また別の日。 海賊が乗り込んできた。 やばんだなぁ。 春「ねぇウサギさん、とっても場違いなかんじだよ今の君」 字『まぁ、書生さんですしー』 始「しっぽないな」 字『オレではなく、敵を見てくださいハジメさん。あと、あんた今どこをみた?』 【ハジマリノハル】の衣装なので、書生さんです。 今回の小道具は扇子が一個だけ。 ですが敵が乗り込んできて戦闘になったので、さすがのオレも加わることにしたんです。 ハジメの視線が痛い。 だから尻尾はやめろ。つか、ないから!いまは耳も尻尾もないから、こっちを寂しげにみんな!! ああ、そういえば。 字『武器がないからと』 一番弱そうだといわれてしまったオレ。 そのせいでなんか群がられて襲われています。 字『オレを舐めてもらっては困るよ』 振り下ろされた剣を首をひねるだけでかわし、別方から来た剣を閉じた扇子でうけとめそのまま刃を扇子の上で滑らせるようにかたむけ攻撃そのものを流す。 耐性を崩し前のめりになった相手の首に扇子をたたきこめば、意識は刈り取れたおれる。 そこへ新たな敵が獲物をつきつけてくるが、敵の甲を扇子で強打してやれば敵は武器を落とす。 そのまま腹にまわし蹴りをくらわして転がす。 傾いたからだのままに前にでんぐり返しで転がれば、先程まで俺がいた場所に槍が数本ささる。 床に一回手をつき、ぴょんっと身体を起こしながら、足元がおるすな敵の弁慶の泣き所を強く扇子でたたきつける。 悲鳴を上げてよろめく。 何人かは思わずと言った感じで武器を手放してしまっている。 そのすきを逃すつもりはない。 瞬間足のばねを利用して敵の隙を転がりぬけ、武器を奪い取る。 焦って動きが単調になったやつを蹴り上げ、たたきのめし、動けないように奪った武器で服を床と固定していく。血の跡っておちづらいからね、極力血はながしてないよ。 船長であるハジメが殺せと言うなら、かまわず奪った武器で健を切り、手足を切り捨てたけど。 この世界のSIX GRAVITYは海賊でありながらも、敵極力殺さないのだ。 郷に入っては郷に従えというだろう。だからオレも血は流さずとらえるようにしている。 でも、せっかく君たちはオレを狙ってくれたわけだ だからさ 字『まだまだオレと遊んでよ』 しゃがんだ状態から立ち上がりざま、扇子を下から上へと振り上げ敵のあごを狙い撃つ。勢いあまってパッと扇子がひらく。 敵は扇子の衝撃でのけぞって倒れ伏す。 そのまま斜めに上から下へと空を切るよりうに袈裟に扇子を振り下ろせば、今まさに真横に迫っていた敵の肩を強打する。 衝撃に痛みを訴え怯みができた隙に、今度はオレの掌底の二つの威力で吹っ飛ぶ。 広がったままの扇子をそのままに空へ投げる。若干前のめりになっている態勢の漢の腕を引っ張り前へとさらに重心がかかったところで向きを変えて背負ってそのまま投げ飛ばす。敵がドスンと床に背負打ち付けたところで、ヒラリトヒラリとセンスがおてくるのをパシリとキャッチする。 だらぁぁぁ!なんて声をあげながら上段か前で切り付けてきた相手にあきれつつ、扇子の親骨の位置を顔の前に持ってくればそれで刃はオレの頭上でピタリと動きを止める。 そうして刃先をそらすように扇子を動かし、刃が滑り落ちたところでい持っていた左手をすっと横に一文字を切るようにふれば、扇子ごときで刃を止められたじろいだ敵の頬をみごとに直撃する。アベシ!って言ってたし顔がはれておかしな不細工顔になっていたが、隙が多いそちらが悪い。 敵の隙をついて扇子を振るえば、クルリクルリ。舞うような動きになる。 字『まったく、切っ先が鋭い物だけが武器じゃないというのに』 ガムテだって最強の武器になるんだよ?オレはそれで体長15cmを軽くこえるムカデを捕獲したことがある。 たぶんゴミを縛る紐だって、それで人を殺すことも縛ることもできる。 そこらにある石だって、投げ体力と当たった場所が悪ければ人を殺せる武器になるわけで。 というわけで。 みなさん、書生さんの衣装だからと、オレ自身を舐めすぎです。 ああ、まだ起き上がるんですか。 ひらいていた扇子を振り下ろして敵の手をたたけば、パチンと音を立てて今度は扇子がとじる。 同時に相手の手から武器が落ちるので、顎を下から蹴り上げ、そのまま脳震盪引き起こして意識を刈り取った。 パシンとセンスをひらいてパタパタ仰ぐ。 ふぅ〜。オレ、良い仕事しましたね。 いっその子のセンスが孫悟空の物語で出てくる場所羽扇だったらいいのに。ひとあおぎで、こいつら海に放り投げられるのに。それだけがちょっとおしいね。 あおいでもそよ風が顔にかかった髪を揺らすだけでした。 まぁ、オレを集中的に狙ってくれたおかげで、SIX GRAVITYのみんなの負担が減ったからいいんだけど。 だって仲間は大切だよ。 それに、ナイフや剣や銃をもってはいるものの、グラビのみんなはあまり人を傷つけるのを率先してやりたいわけではないようだから。 ならば、“慣れてる”オレがかわるだけのこと。 恋「ウ、ウサギさんすごっ!?」 駆「か、かっこいい〜!!」 新「なぁ、俺の錯覚じゃなかったら、敵の8割がウサハルさんとこいかなかったか?」 駆「あれ?そういえば敵はどこへ・・・・・・あれ?え?あのウサハルさんの周囲のあの黒い山なんですか(汗)」 葵「あ、縄もってきたほうがいい、よね?え?救急箱の方が必要だったりする?」 春「わー“むこうのオレ”つよぉぃ(遠い目)」 始「ウサギパンチはないのか」 今度の衣装は、最初はまっとうだった。 緑のベストに腰に布を巻いて。 まぁそこそこ動きやすい方かと思って安心していたら、夜になったら獣耳と尻尾が生えた。 思わずジャケットを着たけど、なにも隠れなかった。 どういうことかというと、ツキノパラダイスっていう実際にいるアイドル使ったゲームをうちの会社が作った。スチルというゲームの得点でもらえるカードには実物のアイドルたちの写真が使われる。そのときに着た衣装が問題だった。 SIX GRAVITYはそのゲームの中で、「月夜のサーカス」っていうイベントをやったんだけど。 ゲームでは「覚醒」って段階までキャラクター、つまりオレたちをもしたキャラクターだね。それが特定レベルまでいったときに衣装もステータスも変化する。 その「覚醒」段階の衣装が、ケモミミシッポだ。 オレの「覚醒」後は、髪の毛と同じ色の淡い色合いの毛に包まれた三角耳。そしてふさふさの長い尻尾。 自分の中では狐だとおもうんだけど 春「狐?」 恋「犬でしょうこれは」 葵「わぁー!うさ耳じゃないなんてウサハルさんかわいいです。あの尻尾触っても?」 駆「狼とかだったらかっこいいとおもうんですが、色があれだからやっぱり狐か犬?」 新「地面にすわったままだと尻尾で掃除できそう」 始「猫か」 なんか一人、奇抜なことを言って納得したようにひとりで頷きつつ、断りもなくオレのシッポに触ってきましたが、尻尾でのばされた手を払い落としました。 アオイくんはよし。 だがお前はダメだ!!ハジメ・ムツキ!!! 思わず小道具のハートがついた棒でペシリとハジメの手をたたきました。 怒ったせいで毛が逆立ってしまったので、さらに「猫だろう長毛種の」と、ハジメのなかでオレは猫に確定されてしまった。 たしかに前世のどこかで猫だたったことはあるけど、ちがう!今回のは絶対違う!きっとこれはかっこいい動物なんだ。だから狼か狐のはずなんだ! オレの耳は猫耳ではありません!! 春「こ、今度はその・・・なんだかみたことないような、は、派手な制服?だね?」 始「?海軍の大佐とかが着るのともまた違うな。なんだこれは?なぜウサ耳がない」 字『これは2017年のステージ衣装だよ』 あと、ハジメさん。いいかげんにしてください。 字『デバイスがつかえるだとぉ!?へーあおさって実物はこんなにふさふさなんだね』 始「あおさ?その鳥、実は海藻か?」 駆「ウサギさん、今日はとってもたくましい・・・ん?んんん!?って!?大変だぁ!!ウサギさんから耳と失がなくなった!!!」 字『いつもウサギなわけじゃないんだけどなぁ』 恋「うわぁ〜ハルさんが裏切り者っぽいwww」 春「コォーイ、なんでそこでオレをみるの?」 新「なるほど〜眼帯をつけるとハルさんてこうなるんですね。あ、ウサハルさん、その眼帯のしたってどうなってるんですか?」 葵「あれ?そういえば眼鏡してないですけどウサハルさんは大丈夫なんですか?」 帝国の衣装を着たら、ついていたデバイスの電源がはいった。張りぼての物体だった部隊の時とは違って作動したそれから、心獣と呼ばれる鳥さんが映し出されたかと思ったら画面から飛び出てきて肩に乗った。 ちょっと、あおさがでかすぎた。 でもなついてくれる動物は貴重です。 めっちゃもふった。 あと、その帝国衣装の時は、あおさに船の周囲の偵察を頼んだ。 たまにポカもしちゃうけど。あおさはとても良い子だった。 ポカっていっても規模がちょっとデカイ。さすがは“謎の敵 彼ら”を駆逐するために生まれた存在――という設定があっただけはある威力だった。 なにをしたかというと、どうやらオレに褒めてほしかったようで、海軍の軍艦を見つけた時(船から離れていたのでオレたちからは見えていなかったし、あおさもグラビの船から離れた場所を飛んでいた)、勝手に特攻して一隻沈めてしまったのだ。 あせったよね。あそこまであおさが威力あるとは想定外。 こういうとき超直感には感謝だ。なんかあおさがとんでいったまま帰ってこないと思ったら嫌な予感がして、あわてて船をあおさが飛んで行った方へ向かってもらった。 ら、ついたときには、船は壊滅状態。褒めてほめてとばかりにオレのもとに戻ってきたあおさをみて、思わず言葉を失った。 とにかく慌てて向こうの船の人は救助した。いちおう・・・全員無事・・だったかな。 船が粉砕してしまったので、しかたなくそのひとたちをグラビの船に乗せたまま。次の陸でおろした。 「ウサギさん!また会いましょう!!」 なんか、向こうの船の人たちになつかれた。 ハルに「これ次に会ったときオレが勘違いされる展開じゃ」って渋い顔をされ、「もう敵をとりこまないでね!」ってプリプリ怒られた。 うーん、たしかに味方の振りをされて最後に裏切られたらたまらないものな。次からは気を付ける。 その後、彼らが陸で、兎の肉を食べれなくなったのは・・・まぁ、しったこっちゃない。 むしろ彼らは兎をめでまくったそうだ。 「あ!お久しぶりですウサギさん!!」 「ウサギさん!あなたの仲間(野生の兎)はしっかり守りました!!肉屋に連れてかれる前にしっかりと!」 春「人違いです!!」 なぁーんて、どこかの街で、ハルとたまたま再会したこの間の捕虜だったひとたちが嬉しそうによってきたらしい。 ハルいわく、からまれたんだとか。 なんだか最近ハルは知り合いによく抱き着かれたり、頭や尻を撫でられるんだって。あと人参をもらうそうだよ。 その都度、張り手をくらわしたり、殴り倒したり、腹パンをしているそうだ。 よくわからないけど、大変だね。 今日もウサギなオレは、船で留守番。ウサギ耳を付けた人間を外に連れ出すわけにはいかないのと、陸で食料調達や情報を調べるにしても船の番は必要だからね。 王国衣装のオレは、今日は宰相様。 せっかくだからとハジメの執務室をかりて、地図と航路を照らし合わせ、ハルたちの目的をそこにプラスして、海軍の動きも計算し、今後の作戦を練っておく。 「いいかげんにしろー!!!」 おや。またハルの声が聞こえたよ。 長くて自慢のオレのウサ耳には、陸の方の声もきっちり届いている。 ハルの罵声と、「ウサギラブ」を連呼する複数の声が聞こえてくる。 ところで、その「ウサギラブ」発言者の中にハジメの声も混ざっていたような気がしたけど・・・・うん。錯覚ってことにしておこう。 ふわぁ〜。 今日も海の上は平和です。 陸で情報収集をして戻ってきたこどもたちが手にしていたのは、手配書の束。 おやおや、手配書なんて随分懐かしい響きだねぇ。 とはいえ、ぶっちゃけいろんなところに写真がのるってことはつまり、アイドル活動のポスターと同じだとオレは思うわけで。 まぁ、衣装とかどうでもいいです。 この世界はそこそこ文明が進んでいて、写真機もあるしそれを印刷する技術もしっかり存在している。 まぁ、TVやラジオ、電話なんてものはないけどね。 なので、イラストで変な風な手配書にはなっていないことは救いだろうか。 駆「あ、ついに俺たちの手配書もでちゃいましたねー」 新「まぁ、いつまでも顔ばれされない。なんてことはないとはおもってなかったけどー」 春「いつのまに写真撮られちゃったんだろう。もしかして海軍にいた時のやつとか?」 始「それはないだろ。どれ・・・」 葵「うちにはハルさんが二人いるんでそこらへんはどうなってるんですか」 字『うん?オレ?』 「「「あ」」」 春「・・・・・・」 手配書をめくっていくうちに、ハルが膝をついてうつむいてしまった。最早orz態勢で落ち込んでいる。 なにがあった? ハルの様子がおかしいので、気になって覗き込めば、彼の手配書だけでもなんだか複数あった。 服が変わるごとに、お値段が違う。 っていうか、これ手配書の名義に「ウサギサン」って書いてあるんだけど。 というか、衣装替えしてるのは、基本的にオレなんだけど・・・。 あれ?もしかしてオレ、手配されてる感じ? 陸にでたことないのに。 えー・・まじか。これはどうしたものかな。 恋「わお。なんでハルさんだけ手配書が複数あるのwwwというか、全部衣装がバラバラwwwww」 新「衣装持ちー」 始「これは・・・よく撮れてるな。ああ、なるほど。衣装ごとに値段が違う感じ、なのか」 葵「あれ?このハルさんの手配書、どれもうつってるのウサハルさんですよ」 駆「というか、手配書の下みてください!!名前!名前の欄が間違ってます!!」 ハルではなく、オレが手配されちゃったみたいです。 えーっと、なんか・・・ごめん? 春「もう、いやだ・・・・というかケモミミは勘弁してください」 ハルが空を仰ぎながら、それはもう死んだ魚のような目をして遠くを見ておりました。 その後、何度見直しても、「ハル・ヤヨイ」の手配書はみつからなかった。 ――とある海兵の報告状況。 「最近グラビの船に、ウサギが載ってるらしいんですが」 「は?」 「なんか狂暴な鳥に襲われた船をグラビが助けたらしいです」 「グラビは海賊だろ。捕虜にされたの間違いじゃなくてか?」 「ウサギに助けられたらしくて」 「は?」 「ウサギさんが、ウサ耳ではないケモ耳をつけていたんです」 「は?」 「あのケモ耳は何の耳か、論争が絶えません」 「ウサギはウサ耳だろ?」 「最近ウサギファンクラブってあるそうですよ」 「は?」 「今月からファンクラブの会員限定で《ウサラブ》っていう冊子がでるらしいです」 「はぁ?!」 「そうなりますよね」 「会員限定とかなんだそれ!?」 「会員になりたい(ゲンドウポーズ)」 「はぁ・・・ずいぶん遅い決断ですね」 「だよな」 「今月のウサギさんファンクラブの特集《ウサラブ》みましたか?」 「はぁー・・・もうそんな時期か。・・・っで?お前は買ったのか?」 「当然です(ドヤ)」 「今回のウサギさんやばかったです」 「ああ、それな。すっげー色っぽい衣装で、看板で煙管を吸ってるところが撮影されてたな」 「その表紙のせいで、今月号の《ウサラブ》が一気に完売になったという」 「まじか」 「再販が決定しました」 「バックナンバーよこせ」 「嫌です」 「ところで、SIX GRAVITYって、参謀って言われるすごい腕利きの副官って・・・いなかったでしたっけ?」 「そういえば・・・」 「誰でしったけ?」 「さぁ?」 「それより今月のウサギさんです」 「だな」 パタパタパタ。 レインコートについた小さな羽根を羽ばたかせれば、オレはお空も飛べるです。 少し前まで、とてつもない荒れた海上を航海していました。 あまりにすごい波と水飛沫で、思わず隼の魔法の四次元カバンからレインコートをだして羽織りました。 まぁ、はおったとたん、ポンと小さな音を立て縮んだよね。 身長はハルの腰ほどもない。 しかもレインコートには小さな翼がついているデザインのため、体が縮むと同時に背中から小さいけど翼が生えた。 それでなんとか濡れるのをしのげば、お空は次第に晴れ、波も穏やかになった。 どうやらやばい海域ってのも抜けたらしい。 それで偵察をまかされたので、パタパタと翼を動かし、帆の先端までとぶ。 まぁ、目視しなくても、なんとなく“予感”はしてるんだけどね。 ああ、ほら、この船の死角になっていた場所。 波と光の反射をうまく利用して、白い船体をこちらから隠している。 あの岩とか小さな小島とかにそって、うまい具合に移動しているからよけいだ。 こちらからは、かの船はいっさいみえない。 このままだとすぐに、あの船に背後をとられてしまう。 パサリ。 翼を広げ、でもどうしようかなと、やっぱりとじる。パサリ。 いや、だってあれってたぶん、グラビを待ち伏せしてた海軍ってやつでしょう。 しかもオレの勘が、“会いたい”と言ってるってことは。ね。 あの船と接触するのは、きっと悪いことじゃないと思うんだ。 たとえ、傍に勢いよくぶつかるように船を接触されたあげく、乗り込んですぐにカトラム振り回されたりと攻撃されたとしても。 春「こらぁーウサギさん!君、見張りでしょうが!!なんでプロセラがいるのぉ!!!」 うん。たとえハルに怒られても。 だって“会いたい”なって思っちゃったからしかたない。 たとえそれが、別の世界の別の存在だとしても。 “その姿”を一目、目にしたかったから。 というわけで。戦闘が開始されました。 ぶっちゃけて、ハルとハジメが昔海軍だったとかそうでないとかいうのが嘘のように、いままでのどの敵よりも激しい交戦となった。 あっれぇ?仲間じゃなかったの? かなりお互い本気で戦ってませんか? 白いコートを肩からはおり、剣を振り回すシュンなんか、嬉しそうに「会えて嬉しいよハジメ」なんて言ってるくせに、目がめちゃくちゃ本気。なんというか眼光がギラギラ。闘志に燃え滾ってますといわんばかりの様子で。 剣と県がぶつかり合う音なんか、キンなんてなまやしいものではなく、体重もかけられたガキィン!!というそれ。 おりょ?こっちのグラビとプロセラは、もしかして不仲だったりするのかな? 憎しみの対象。なみに? 直感的には、それは違うと訴える。 字『それはないねぇ。“この感覚”は違うよね』 マストの上から見下せば、それぞれがそれぞれの場所で交戦を始めている。 感じるのは、悲しみ。 「なぜ」という疑問。 それらすべてを押し隠すほどの、高揚感。 字『なぜという疑問を感じているのは、シュンとカイかな。ということは、ハルとハジメは彼らに何も言わずに海軍を飛び出したか』 二人には、友を裏切ってもなお、叶えたい願いがあった・・・そんな感じかな。 字『ふっふっふ。ならばこの天使な春さんが叶えてあげるべきでしょう(ドヤァ) ・・・なぁ〜んてね』 たぶん彼らの願いはとても大きなものだ。 そして生半可な気持ちで、軍を飛び出すなんてするわけもなく。 きっとたやがては元の世界に変えるだけの、今またま居合わせただけのオレなんかでは、彼らの想いを共に背負うことはできない。 なにせこの世界にオレはそれほど干渉できるような力はないわけで。 髪や爪が伸びたり空を飛んだり、ウサ耳が生えたりしたとしても。まぁ、いうなればそれだけなわけですし。 いまだって、オレは天使なんてものではない。 鶯レインコートのおかげで空を飛べるだけ。それだけだ。 あ、でも、この世界でもシュンが隼と同じような存在なら、オレは元の世界に帰れるかもしれない。 声をかけてみるのも一興だろうか? 隼「ふふ。ようやくつかまえたよ。君たち、動きがはやいんだもの。カイが頑張ってくれたけど、追いかけるのは大変だったんだよ」 始「ふっ。こっちには腕のいい参謀と天の恵みがあったからな」 隼「ハジメ、軍に戻ろう?いまなら、まだ君たちは誰も傷つけていない。むしろ海賊となりながら人助けばかりしているようだね。帰っておいでよ、ねぇ、ハジメ」 始「断る!」 ガキン!ギィンッ!!と剣と剣がぶつかり合う音が重い。 シュンの衣装がゆれる。黒いハジメのコートがそれを追うようにはためく。 拮抗した力で押し合い、二人が一瞬距離を開ける。 怒っているようで、それでも泣きそうな顔で「なぜ」を繰り返す。悲痛な声がきこえた。 それに眉間にしわを寄せて、黒の王は決して頷かない。 頷くことも彼に応えることもしない。 してしまえば、彼らも巻き込んでしまうから。 字『なんて、モノローグが入りそうな雰囲気・・・好きじゃないなぁ』 魔法のカバンをゴソゴソとあさってみる。 今のオレでは何も力になれることはない。 なにか、なにかないだろうか。 彼らの心を少しでも軽くするような。 帝国の衣装であおさを呼び出して、海軍本部をぶっ潰す? だめだよねそれじゃぁ。 何かが違う気がする。 ああ、なにか急がないといけない気がする。 なんでこんなに心はせくのだろう。 なにかを“見逃してる”ような。 なんだろう? 首をかしげて、周囲を見渡してみる。 ここら辺は、浮島が多く、海岸近くの入り江が入り組んでいるから、船はあまりこない。 そんななかうまくグラビの船についてきたプロセラは、良い航海士を持っている。 春「ちょと!君までどこ見てるの!!」 ふいに聞こえた悲鳴というか罵声に、思わずそちらをみれば、こちらはこちらで交戦していたカイとハルがいて、ハルが猫の毛を逆立てるようにカイを威嚇している。 何事かと思っていれば、どうやらカイがハジメと同じように、ハルの頭と尻を凝視したらしい。 海「あーグラビの参謀さん?アンタ、兎耳つけるのが趣味・・なんだってな?」 春「?!!戦闘中にとんでもないこと言わないでほしいなっ」 その言葉にきれたハルが怒りのままに剣を振り回す。 こう怒っているときでも頭のどこかが冷静みたいで、ぶれることなく的確な急所を狙っていく。 キン!キンキン! なるほど。この世界ではカイは、ハルとハジメが海軍をやめた後に、シュンに拾われた感じか。 親しみはとくなく、ひたすらカイはハルにケモ耳をさがして「だよなー」「あ、もしかして双子?」とか、なぜか爽やかだ。 春「ひとちがいです!!!もう!!ウサギさんのせいだぁぁ!!!!」 字『えぇぇ。だって服がそれしかなくて』 呼ばれたので、マストから飛び降りつつ、レインコートをぬげば、下に着ていた兎王国衣装があらわになり、空中でポフンと元の大人の姿に戻る。 とてもまっすぐな黒くて長い耳はピンとたち、ふわりとした自慢のシッポは健在で。 白と黒のリボンが胸元で風にあおられる。 それが落ち着いたころ、カイとハルの間に割って入るように着地を決める。 変身完了☆ なんてウィンクをとばしてポーズをきめたり――してはいない。さすがにそんなことしない。 だがひとつ言わせてもらおう。 字『オレの耳はとてもまっすぐで素敵です!』 しっかりジャケットを羽織って、胸を張ってみた。 自慢の耳がピンとのびた。 しっぽがチアガールのポンポンみたいにふさっとゆれる。 どうだ。ハルと違うだろう。 そう思ってハルの横に立ったわけだけど。 なぜか全員が動きを止めてこちらを凝視してくる。 甲板が静寂に満ちた。 そして 「「「本当にうさぎさん、いたー!」」」 Procellarumの子たちからは大声が聞こえ、戦闘音がやんでしまった。 逆に、ハルは頭痛をこらえるように額を手でおおい深いため息をつき。 なぜか喧嘩?というか交戦していた子ら問わず、歓声をあげて駆け寄ってくる。 ハジメがなぜか一番満足そうに笑みを浮かて「一時休戦だな」と言って剣を収め、シュンはどこか困ったようにかなしさを押し殺すように苦笑を浮かべ「しょうがないね」と剣をおろす。 んんん?なにごと? お、なんだい。年少組はオレのシッポに興味があるのかな? ふっふっふ。オレのシッポは黒田にもまけないほどふわふわだぞ。 耳だって、とても立派なんですから。 この立派な耳でどんな小さな音もきこえ――― “その音”にハッと顔をあげる。 群がってきた子供たちをかきわけ、なにか話し合いを始めていたリーダーズのもとへと駆け寄る。 字『だめっ!!』 パァンッ!! そんな音と、体になにか重い衝撃が来たのは同時だった。 体がぐらりとかたむが、痛む脇を抑えて足を踏んばりこらえる。 驚いた顔をしてるハジメとシュンが目に留まる。 チラリとみやればさっとアラタとヨウが動き出している。 続いて状況を理解したらしいコイとカケルとイクが後を追う。 島に隠れるように、グラビの船に接近していたのは、なにもProcellarumだけではなかったのだ。 敵が突如水和陰からその巨大な船の姿をあらわにし、いっせいに乗り込んでくる。 銃だ。 どうやら自分はそれに撃たれたらしい。 わき腹に穴が開いたような気がしたけど、ふれるとモフっとした手触り。 もふ? ん? っと、思って見下せば、赤い色はどこからも流れていない。 抑えていた脇腹からは白い――綿が出ている。 字『あ、納得』 やっぱりオレのツキウサくんに憑依していたようです。 この世界に来る前には、たしか3月特大ウサはやぶれていたはずだし。 ということは、人型になった後に腕がもげてないのは奇跡か。 無事に帰ったら、黒田処す。 ああ、でもこんなところで死ぬべきじゃないハジメとシュンを助けられたのなら、それは十全というものだ。 いちおう兎王国の小道具は、ナイフと薬だ。 銃なんて危険なものはシュンだってめったなことがない限り振り回さないというのに。 危ないものはぺってさせましょう。 たおれそうになる身体を無理やり動かし、投擲する。 狙うは狙撃手。 隠れても無駄。オレには超直感があるからね。 悲鳴やら呻き声を上げてたおれる敵に、自分の戦闘力に自画自賛してみる。 春「ウサギさん!!!!」 名前を呼んでかけつけてくるハルに笑う。 痛みはないんだけどね。 腹を撃たれた違和感はまだ残っている。 たぶんもう限界。 オレはここまでみたい。 だけどね 字『君たちはまだだよ。まだ“死ぬべき時”じゃない。みんな、進んで』 超直感が、この世界の君たちの未来を予言する。 輝く未来であることを願っている。 どうか明るい未来が待ち受けていますように。 みんなが、笑っているところがみたか ペシン! 字『たかった・・・って、痛いよ!なにするの!?』 始『おきろ春。いつまで黒田をしめているつもりだ』 字『へ?くろ、だ?』 始に頭をはたかれて、目をパチパチと瞬けば、たしかにオレの腕の中には黒田がぎゅうぎゅうにしめられて苦し気にもがいていた。 おや。オレはいつのまに黒田を捕獲していたのだろう。 なんで隼の鞄が横に落ちてるのかな。 というか、なんでオレはこんな廊下で寝てるんだろう。 いや、オレだけじゃなくて、横では隼も倒れている。 頭部にはげしくばかでかいたんこぶが見えます。 なにしたの隼は? 隼が「やめて始、僕が!僕が!!穴をふさぎ忘れたからって!!い、いたい・・・ふふふご褒美ですぅ」と怪しげな寝言をつぶやきながら、 「う、ウサギさんの今月号をどうか!!!」なんて空へ手を伸ばしている。 意味が解らない。 けど、まぁいっかって思った。 なにより大切なものは守れたし。 それに、“戻ってこれた”から。 よくわからないけど、そんな気がして、だから隼が何かしでかしただろうとか、廊下でオレが黒田をしめていようと。なんだかどうでもよくなった。 部屋に戻ったら、オレの特大ツキウサ人形がなくなっていた。 海によって回収されていった隼があとから、11月特大ウサをくれた。 “おわび”と、“かわり”だという。 ん? それじゃぁ、オレのウサはどこへいったのだろう? まぁ、11月ウサでも、もふもふはかわらないからいっか。 なんとなく黄緑の姿が部屋にないのが寂しくなって、始の部屋から1月の紫特大ウサを強奪して、灰色と紫の特大ウサに囲まれて布団に転がった。 モフモフきもちい〜。 だが、しかし。 特大サイズのツキウサのぬいぐるみはでかすぎた。 それを二匹ベッドに連れ込んだことで、オレはベッドからあふれおち、結局床で寝る羽目になったのだ。 ホケキョくんがなぐさめてくれた。 朝、起こしに来た葵君に床でしょんぼりしているオレは発見された。 その後、オレの部屋には、11匹の特大サイズのツキウサが部屋にとどけられた。 それだけで部屋が埋め尽くされ、はっきりいって本気で足の踏み場がなくなった。 ちょっと、誰だよ中ウサまでもってきたの! ホケ!っていうホケキョ君の悲鳴まで聞こえる。 とりあえず床を探さないと身動きもできない。 11匹の特大と7つの中サイズと12匹のミニウサと、黒田と・・・・マゼラン!?と、涙!? 一人でウサモフパラダイスの中を泳いでいるつもりだったけど、気付いた時には、黒田(本物の兎)と、ペンギンとしかも一緒に涙もまざっておぼれていた。 曰く、ウサギを届けに来た時にこけてしまいそのまま兎の群れにのまれ抜け出せずにいたのだとか。 だったら助けを呼ぶなり声をかけてくれればよかったのに。 とりあえず、そのまま涙も一緒にもふっておいた。 なにこれ。うちの子まじ可愛い。かわいすぎか!? その後、心行くまで一緒に転がった。 「モフモフあるところにはいつでもいくから」と、別れ際涙にグッジョブとされた。 涙とは、モフモフ同盟の協定を組んだ。 次のモフモフ発生予定地には一緒に行くことになった。 ところで、マゼラン。君、さっき陽が探していたから、早く戻った方がいいよ? * * * * * 銃で撃たれたあと、ウサギ耳の生えた春は、プロセラとグラビの笑顔を願った。 そうして―― すべての敵を一掃した後、かけつけたときには、もうウサギ春はいなくなっていた。 かなしげに、ハルが“それ”をだきしめている。 腕がちぎれかけ、腹の部分から綿がとびでた黄緑の巨大なウサギのぬいぐるみがそこにあった。 始「死んだのか?」 春「どうしようハジメ。う、ウサギさん、動かないよ。死んじゃった・・俺達の身代わりに・・ウサギさんが撃たれて・・・」 隼「弾は貫通していたみたいだね。 というか、いやハル。それ、死んだというか、どうみてもたただのぬいぐるみだからね」 海「また変身した!?最近のウサギはすげぇなwww」 ウサギ春の流した血などどこにもなく――残ったのは、綿だった。 あと思うに、そのウサギ、銃で撃たれた後はあるが、なぁ。なんでそんなに損傷してるんだよ。 今の交戦でつくような傷がないぞ。それ。 とりあえずアオイによって補修された兎の巨大なぬいぐるみは、船室の神棚に飾られた。 船の神様だったんだよと、つぶやいたのはだれだったか。 どうでもいいけど、ぬいぐるみはでかすぎて、せっかくまつってやったというのに、うすっぺらい板ではその重さを支えきれず、翌日には板は耐えきれず粉砕していた。 始「手触りは最高なんだがな」 神棚が壊れてしまってはしょうがない。 しかたないから。 しかたないからだぞ。 うさぎのぬいぐるみは俺の船室に持っていった。 ぎゅ・・・。 うさぎ・・・・・・よい。 恋「ふぁっ!?う、うさぎさんがいなくなってるぅ!!!」 駆「なぬ!?ほんどだいない!?まさか誘拐!?」 葵「そ、そんな」 新「む!神棚を割ってまでもっていくなんて!なんて卑劣な犯人だ?!」 春「ま、また船に侵入者が!?ハジメ!!大変!大変だよ!船にしん・・・・・Σ(゚Д゚ )」 春「犯人はお前かぁぁぁっぁあ!!!!!どんだけウサ耳すきなの!!・・え!?ちょ!?こっちみんなぁっ!!!!!」 |