【ネタbP をかいてみた】 |
どうか ど う か・・・・ ―――か み さ ま・・・―― 『うん?』 小さな春が社の縁側で、本体である鏡を抱きしめて太陽の光をあびていたら“声”が聞こえた。 春は本来神鏡である。しかしいまは力を押さえるため、小さな小さな雲外鏡でしかない。 けれどそんな春の元までその切実な“祈り”は届いた。 その願いは自分や天狐、月野神社ゆかりの月や太陽に祈る声とも違うもの。 誰ともいえない神へ、助けをこう。 そんな声。 チラリと社の奥の方に目を向ければ、いまだ自分の保護者である白黒天狐が目覚めた気配はない。 結界はどこもゆらいではないないし、天狐の目覚めに世界に満ちる気が歓喜にふるえることもない。 ただしく天狐たちは、眠っているのだろう。 つまりはこの祈りの声は、世界を揺るがすほどのなにかではない証拠だ。 『だぁれ?はるくんを呼ぶのはだぁれ?』 この地は、人が訪れる時間は陽の力に満ち、妖の訪れる夜は月の力に満ちている。 声はどうやら月の力を借りて、この地にまで届いたようだ。 土地の信仰の中心である太陽とも月ともいわれる鏡が、この社に存在する雲外鏡の本体だ。 そのご神体の守護者である天狐たちでさえ気づかないほどの小さな“声”。 地におち、憑りついた鏡から出れなくなったあげく付喪神として新しい生を得たとしても、まがりなりにも春は神だ。 神が人間すべての願いを聞くわけではない。けれど自分にまで届いた声を無視するのは、教示に欠けた。 己が小さき手でもすくいあげることができるのなら、なそうとする。 救う。掬う。抄う――その言葉の通りに。 春は己の限界を知っているから、己ができることであればと手を貸そうとする。 それは幾度も生をくりかえし、長い歳月を生きた彼の教示であった。 『なかないでお月さま。はるくんでいい?はるくんでよければ君たちを“かえして”あげるよ』 封印の影響で幼い姿では舌足らずだ。 けれどそんな言葉遣いや容姿とは裏腹に、その表情はどこか大人びたものへとかわり、瞼をゆっくりと閉ざす。 微かに開かれたままの瞼の下からのぞく深い緑の瞳は、目の前のものをうつさず遥か遠くを見るようで・・・ 『お月さま、みちをひらくよ。そっちに“つなぎ”の役目をになえる子はいる?』 『なるほどね。“うつし”、それはいい』 鏡は“うつすもの”だ。 うつし、うつされ――みちとなる みちは 未知。 知らぬものへの畏怖。 みちは 道。 進むための足場。 みちは 通。 目指す指針を失わないための導。 みちは―― 『ああ――みつけた』 力の満ち欠けに准じる。 春が抱きかかえていた鏡のなかに波紋が浮かぶ。 それはしだいにおちついてくると、一つの光景を映しだしはじめる。 雲外鏡の付喪神である春は、おのれの鏡(本体)が映したものをそのまま共有できる。 そこで“映した”ものを“移す”こともまた造作もないことだ。 『そう。つなぎの子、鏡の前へきて。“オレ”の前に――』 春の鏡には、薄暗い建物のなかで、ボロボロの布を纏った学生服のようなものを着た青年を映し出していた。 まるで春の鏡のなかのでてこようとするかのように、“こちら”へと手を伸ばし――― 『みちを・・・』 今――通(みち)をひらく。 けっして大きな声ではないはずなのに、春の厳かともいえる真言が空気を揺らがす。 瞬間、春が抱き締めていた丸い鏡が目を開けるのさえ難しいほどのまばゆい輝きを放った。 一瞬のことだった。 光が消えた場所には、付喪神としての春の姿はなく、やわらかな布の上に丸い鏡だけがコトンと床におちた。 * * * * * ビリリ!! 山姥切国広は鏡に触れた途端手に走ったしびれに思わず顔をしかめる。 「いまのは・・・」 鏡に映った己を見て、なぜかひきよせられるように鏡に手をのばしていた国広が鏡面に触れると同時に、静電気のような刺激が走ったかと思えば体の中にあった“力”がどこかへ流れていく感覚におそわれたのだ。 それに危険を感じ、とっさに鏡から手を離したのだ。 痛みがあったこともあり、おどろいて己の手のひらをみつめるが、そこには火傷のあとも何もない。 ふいに目の前を花びらがひらりとながれていく。 「はな?」 このよどんだ本丸では植物は育たない。植物は枯れはて、大地は腐り、荒れた土地がひろがるそこは、生き物が住まうような環境でない。 ましてやこの本丸では、何年も刀剣男士が誉桜をさかす姿はみれていない。 顕現時でさえ、花びらはすぐに腐り、ただの汚泥とかすというのに。 だというのに・・・では、今の花びらは? いまもまだ花びらがやってくる。 それの出所を追うように国広が姿勢を変えれば、視界のすみに白く動くものに気付く。 はじめは自分がつねにかぶっている布かとおもったが、すぐにそうではないとわかりハッと身構える。 この薄暗く汚れ切った本丸には不釣り合いすぎるほどに、あまりに明るく、白いのだ。 花びらもどうやらそちらからきているようだとわかれば、国広はすぐさま警戒をつよめつつふりかえる。 「?!」 そこには、国広のすぐそば鏡の正面に、清らかな気を纏う薄布をかぶった青年がたたずんでいた。 一瞬新しい審神者が政府から送られてきたのではないかと国広は身構えたが、それは有り得ないとすぐに察する。 この本丸は打ち捨てられた本丸だ。 すでにゲートの動力源は落とされ、残されたのは瘴気に飲まれ堕ちた者か正気を失った刀剣男士のみ。 なによりも目の前の青年が、国広にはまがまがしい者には思えなかった。 むしろ神々しさを覚えたほどだ。 思わず魅入ってしまうほどに。 青年は審神者か神職にある者らしく浅葱色の袴に、白い衣、自分とは素材も質も何もかもが違う薄い布をかぶって顔を隠している。 まるで春の化身かのように、青年が動くたびに温かくやわらかな空気が広がり、彼の周囲に色鮮やかな花びらが舞う。 位本丸の中にあって彼の周囲にだけが澄んでいて、そのせいかスポットライトが当たっているようだと思ったのは間違いではない。 ひらりひらりと色を散らして青年は、国広の視線に気付いたのかこちらに視線を向けてくる。 『君が“あのこ”が言っていた“うつし”の子だね。君とオレは酷く相性がいいようだ』 うつすものと、うつされたもの。 だから力はよどみなく彼に渡り、彼は“こちら側”に顕現したのだという。 うつすものとはなにか? その疑問が浮かぶよりもさきに、国広はわけもわからずとっさに膝をついていた。 それはもはや付喪神としての本能に近い。 相手は自分よりもはるかに上位の神だと、そのひとことひとことにこめられた神気の強さを感じ取ったのだ。 「お、俺は・・・ 俺は!俺は刀の付喪神。山姥切長義が写し、国広が最高傑作山姥切国広。 ここは朽ちていくだけの場所。そんな場所になぜ」 『雲外鏡――月の導きにより願う声によばれてきた』 厳かなまでに静かなつぶやきは、まるで小さな鈴を転がしたように優しく国広の耳をなで、春のひだまりのような優しい空気が本丸を風となって駆けぬける。 ただの雲外鏡がこれほど力があるのだろうかと疑問に思いつつ国広はなかなか顔をあげることができない。 しかし青年の“月”という単語を聞いて、国広は勢いよく顔をあげる。 それはもしや――と。 「月の、とは?」 『欠けた月の声・・・覚えは?』 「やはり!三日月、宗近か・・・」 『その様子、覚えがあるようだね。さぁ、おさなき刀の子。オレをつれていって』 『太陽のもとへお前たちを“還そう”』 オレと君とで、“みち”を照らす太陽となろう。 『オレは陽を、月を――“うつす”もの』 「ふふ。たい、よう?ははは!おかしな話だ! そういえば・・もう、どれだけ陽の光などみてないだろう。三日月はずっと閉じ込められていて、あいつは、・・・・・あいつは俺たちを守ろうと主に手を!!」 仲間の名前からいままで仲間たちが審神者にうけてきたしうちを思い出してしまった国広は、すでに纏っていた瘴気をより濃くし――視界が真っ赤に染ま 『堕ちるな!』 「あ」 『堕ちてはダメ。せっかく君の仲間が君を生かしたのが無駄になってしまう』 赤く染まりかけた目が、再び焦点を結び、目の前でぎゅぅっと眉をひそめて泣きそうな顔の青年の姿を捕らえる。 ふわりふわりと薄布がとられ、それがいつのまにか国広の肩にかけられている。 そのせいで、さえぎるものがない雲外鏡の素顔が、まっすぐみえた。 『どうか、見送るのを手伝ってほしい』 君がいなくては、縁もゆかりもないオレでは彼らを導くことはできないから。 ――からの〜。 ブラックの刀剣たちをすくうハイスペック雲外鏡春さん。 だけど他の子はできたのに、三日月だけは意識があったが浄化のとちゅうで瘴気が膨れ上がりそれでのまれてしまい、完全に落ちてしまう。 そして切りかかってくる三日月。 三日月と春の間に割り込む国広。三日月の刀を刀で受け止め―― 「あんたは逃げろ!!!」 それを拒否して残ろうとした春だったが、国広に押されてゲートをくぐってしまう。 ゲートをくぐってしばらくして意識が戻った春は、ショタ化。 『くにーどこ?くに?みか?』 ゲートをくぐった影響で身体が省エネショタモード。 そこから政府のブラック役人に見つかり〜の。 「ほう、この俺の前で童子誘拐なんて見下げ果てた奴だね!!!」(ヤクザキック) 監査官チョギに強奪されて〜の。 ショタとチョギの逃避行。 ---------------- ここまで! なぁ〜んて展開が【ネタ@】。 |