00. 生きてほしいという願い |
「この主人公、本当ならまだ七歳なのに…こんな終わりってない!!」 「ひどい」 「おやおや僕の愛しい小さな仲間たち。おや、恋と涙なんてずいぶん面白い組み合わせだね。泣きそうになってどうかしたのかいふたりとも」 「しゅんさぁ〜ん!」 「このゲームが酷いんだ」 「ーーふむふむ。なるほどねあーそれは周りの環境がよくなかったんだろうね」 「ですよね!俺、こんな仲間なんて絶対嫌だ!プンスカ!」 「ぼくも」 ―――世界は・・消えなかったのか・・・ 「ん?いま、なにかきこえませんでした?」 「いや別に」 「きこえた。いま」 ーーー私の見た未来が僅かでも覆されるとは・・・驚嘆に値するーー 「いやいや!今度ははっきり聞こえたよ!!」 「これは、すこしまずいね」 「ひょえ!?しゅ、しゅんさんがそういうなんて。な、何今の声!?え?ゆ、ゆうれい!?」 「ちがう。これは・・・さっきのゲームできいた」 ・・・どうか我がいとし子たちに―― 「音が・・・うるさい」 「テレビから離れるんだ恋、涙!」 「え?」 「はやく!離れろ!・・・ゲームだ!そのゲームを通して“向こうの世界”とリンクしてしまったんだ。みんな、絶対生き延びて!死んだら本当におわりだよ!これはゲームじゃない!・・を・・・・・・・・から・・・それまではーーーー」 ーー我が同位体たちよ幸せになってくれーー 「やれやれ」 君の愛しい同位体に幸せに生きてほしいから時間を巻き戻すなんてとんでもないことをするねぇ。 ねぇ、ローレライ、本当にそれでいいの? だって君がつかんでるその手ーーー 「“オレ”のだけど」 ねぇ、本当にいいのかな? ふふ。君の愛しい同位体じゃなくてごめんね。 でも間違えたのは君だ。 あと、オレをつれていくっていうことは、王様も魔王もそっちに行くってことだけど。いいかな? きっと君の世界はあっという間に崩壊してしまうよ? まぁ、それこそが君の願いなのかもしれないけど。 誰も君に優しくするつもりはないから、それだけは覚えておくことだ。 そもそもオレは怒ってるんだよローラレイ。 オレの大切な仲間値を危険な世界に連れてったんだ。それ相応の代価は払ってもらう。 世界を支える精霊がなにを怯えてるんだい? フハッ。いい顔だ。 それじゃぁ、はじめようか。 「“クソな世界”の解剖を――」 * * * * * 「チェンジだよ!!!!」 あんなゲームの主人公に僕の大切な子をいれようとするなんて!! ダメったらダメ!!! いまでさえ不安定な魂だ。 そ・れ・を! あの炎の精霊だか何だか知らないが、じぶんの人形にしようとするとか!!!! 「だめにきまってる!」 転生を繰り返すからか。そもそもこの世界の魂ではないからか、一番にあいつに春が連れていかれた。 連れて行かれそうになった時、必死にすがりついた。 このままではレプリカとして生まれたあの子はすぐにでも死んでしまう。 大切な存在に生きてほしい。幸せになってほしいと願うのは誰だって同じだ。 生きていてほしいから。まだまだ僕らとずっとそばにいてほしいから、慌ててあの迷惑な精霊から春の魂を引き離した。 だけど僕にできたのはそこまでで、「死なないで花」そう願いながら腕の中に春のたましいをかかえて、これ以上春の魂が摩耗してしまうのを防ぐことしかできなかった。 だから空っぽになったレプリカのなかに別の何かが入りこんだとしても不可抗力というやつで。 僕の知ったことではない。 “新たな世界”で生きることとなった今の僕には、この腕に抱えるこの子こそがなによりも大切だ。 |