01: 影の相棒の笑えない日々 |
たすけろ、ください先輩。 それは前世で友人であった字先輩に会う少し前のこと。 “わたし”はこの世界が【黒○のバスケ】であることを知っている。 だからこの世界が原作とずれているのも知っていた。 ++ side火神成り代わり主 ++ 神崎零こと火神大我。誠凛高校一年、バスケ部所属。 容姿や声ともに【黒○のバスケ】の火神大我そのものである。 前の世界はゲーム【P4】で一年間過ごし元いた街へ帰る電車に乗った。長時間電車に揺られているうちに眠りに落ちたら、赤ん坊の姿で女性(火神大我の母親)の腕の中で目が覚めた。 最所は混乱したが時間だけはたっぷりあったため己が男の子であり “火神大我” という名前=もしかして【黒子のバスケ】か?と認識した。まだ幼いために黒子ともキセキの人とも会っていなかったが小学生の途中で父の仕事の都合上アメリカ行きとなりタツヤやアレックス、そしてバスケに出会えたことで決定打と言って良かっただろう。 つまり今の世界では火神大我として赤ん坊から生きてきたのだ。 元々はトリップ体質だが、今回の場合 “憑依な転生” な気もしなくはない。 ……トリップの場合、私の身体自体はどこにあるんだろうな。 さて、原作+アニメという認識であるが【黒子のバスケ】は知っている。 俺は元の火神大我とほぼ変わらない人生を歩んでいる…はず。 違うのは俺の認識。 中学時には日本に戻ってきたのだが、既にキセキの世代の存在を知っていたので日本のバスケを軽んじることなくバスケをしていた。 ―――が、俺のいた中学はバスケ部というより同好会で人自体少なくキセキと対戦など出来なかった。 泣く泣く他の部に在籍して、ストバスと基礎トレーニングの日々だった。 そんな中学を卒業し、高校は誠凛。 理由は単純に誠凛のメンバーが好きだからだ。 しかし、ここでイレギュラーが起こる。 「火神くぅん、黒子くぅん!」 ふわふわというのが合いそうな声とともに自分の左腕に誰かの腕が巻き付かれる。同時に柔らかい胸の感触。隣にいた黒子は間に入った女性で一瞬見えなくなる。 「おはよぅ、朝から二人に会えるなんて●●●はなんてラッキーなのかしらぁ!」 「●●先輩、おはようございます」 「やだぁ〜黒子君てば!苗字じゃなくて下の名前の方で読んでよ」 「…では●●●先輩と」 「そうそう!火神君もおはよう!」 『goodmor…お、おはよう、ご、ございます』 「朝のせいか二人とも元気ないわねぇ。しっかりしなきゃ駄目よぉっ」 お前が胸を擦り付けてくるからだが。 この原作には絶対いなさそうな女は、誠凛バスケ部マネージャーで●● ●●●という。 本来、誠凛にはいないはずの人物は、現在2年生からは誠凛のマドンナと呼ばれているらしい。 (マドンナって清楚タイプのイメージがあるんだが) 過度に付けたとしか考えられない甘ったるい香水(薔薇か?)にむせかえりそうになる。 この香水に毎度難色を示すのは俺達一年生組と土田センパイだけだ。 他のセンパイ達に苦情を漏らせば、彼らはこの香りが●●●の魅力なんじゃないかと言った。付け過ぎとは思わないらしい。 丁寧に整えた長い爪には鮮やかなマニキュア 腰まである金髪のツインテール それを派手なリボンで結んでいる メイクは高校生ながらにバッチリと分かるほど 女子として意識した姿ではあるが運動部のマネージャーとしてはどうみても動きづらい格好をしている。 その証拠に、この間は自慢であろう長い金髪を体育館のドアに引っ掛けてしまい悲鳴を上げていた。 そりゃ外見だけの判断するもんじゃないと思う。 だが、主なマネージャーの仕事であろうことをフリ達がしてこのセンパイは俺達の練習の応援がメインである時点で『部のマネージャーってこんなのだっけ?』と疑問に思う。 (そもそも俺がマネージャーのいる部活に入ったことない人間だから、その流れを知らないのは仕方ないか) そんな彼女は俺(私)と同じくトリッパーだ。 ハッキリと言えるのは、彼女の行動にある。 まず部活勧誘で見たことない人物(徹野 ●●●) に俺は驚いた程度だが、その彼女は入部早々から積極的に黒子と俺に話しかけていた。その大半がバスケに必要な話というよりプライベートのもの。いや、新入生と早く打ち解けるにしても「恋人は?」「好きな子のタイプは?」と恋愛尽くしだった。 そして黒子と俺が質問に答えると。 俺のみている目の前で「え、マンガと違う!」「入部の理由が全然違うってどういうことなの!」「これがリアルと夢小説の違いなのかしら」と人目を憚らず自分の世界に入っていた。 その様子に黒子はポカンとしていたが俺は確信する。 「神様にお願いしてトリップして一年待ったのにぃっ!火神くんも黒子くんも私にアッサリとしすぎじゃない!?求めていたリアクションと違うんだけどっ」 と、彼女自身(多分無意識)に暴露しだした。 まぁ、その意味を俺以外が理解することはできなかったようだけど。 それが唯一の救いか? それにしても彼女は自爆しすぎ。 神様の修正力とやらがなければ、この子、すぐに正体がイレギュラー(トリッパー)であるってばれそうだよな。 (そんな彼女は俺が火神だと思ってるから、今後も猛烈アピールしてくるんだろうな) よく女の武器を主張したアザトサを披露してくれるのだが・・・ごめんなさい。 元女のせいか魅力的に感じないんです。 よくて同性目線。 (P4の女子メンバーのが断然カワイイし、セクシーさなら絶対マーガレットさんだし…いや俺の、私の欲目だけど) それはまだ前世での先輩と出会う前の―― ちょっことばかし苦痛な日々のこと。 :: オマケ :: 火『そういえばアザナ先輩』 字『ん?』 火「あのトリッパーの女、凄い先輩に恨み抱いているみたいですけどなにしたんです?』 字『なにも。木吉鉄平の膝を壊したと勝手に騒いでるのは向こうだな』 火『やっぱりラフプレーとかしてないんですね!』 字『するかボケ。オレがやったら、死人が出るわ』 火『でしょうね。毎度毎度危ない世界ばかり転生してましたもんねーアザナ先輩』 字『まぁ、オレがしてなくても。かわりにあの女はやってるだろうな』 火『え?』 字『嫌がらせ受けてるらしいぜオレ。 他校の生徒をはめようとか、かなり労力いると思うんだが。そんなご苦労なことよくできるよなぁ』 火『ファッ?!』 字『うちにかかってきた無言電話は、オレの母親がことごとく追跡して訴えたらしいな。そのあとの相手がどうなったかなんて知らね。刃物がはいった手紙とか、死ねとかラフプレーがウンヌンかかれた手紙は日常茶飯事。オレ、そういう嫌な言葉って好きじゃないんだけどなぁ。あ、あと部活なんかだとロッカーが荒らされたりして、掃除し直したことがある。霧崎の奴ら、金で何人か買収されたらしいな。グッ○とかエル○スとかのなにがいいんだ?そういえばオレがとある女子生徒を襲ったとか強姦容疑かけられたけど、あれは結局イニシャルGがその場に登場したことでうやむやになったな。あと教室の机の上に花瓶とか。下駄箱にごみとか?あれ、クラスの迷惑になるからやめてほしいんだよなぁ。みんなの日課が毎朝のごみ掃除になってきてるし。申し訳ないよ。そういえばあの女に会ってから、夜道での襲撃回数が多くなったような?そういうやつ徹底的に言葉攻めしてみたり潰してきたけど、もしかしてあの女に雇われただけとか?それなら悪いことしたなぁ。あいつらも更生できるといいなぁ。 ――っで。なんの話してったっけ? きょー兄の話だっけ?ニィ、イケメンだろ。あれ?誠凛が次に秀徳と試合するよって話だっけ?』 火『先輩・・・あんた、もうちょっと危機感持った方がいい』 字『危機感?いや、あるよ。どこから銃弾が飛んできてもよけられるぐらいには常に気にしてるし』 火『危機を抱く方性が根本から間違ってるっす!!』 U TOP UNext→U |