花 宮≠花字E |
とんでもない衝撃が腹に来たかと思い目を閉じたが、痛みはいつまでたってもこなくて、 そっと眼を開けたときには、そこは見知った自宅のリビングで、目の前には勉強道具を広げた清志がいた。 小さなテーブルをはさんで向かいに座っているところをみるに、どうやらオレは清志の勉強をみていたようだ。 清志はこちらの様子に気づいていないのかそのまましばらく参考書とにらめっこしていたが、 オレが何も言わないで見つめているのが気になったのか顔を上げてきた。 「おかえりアザナ」 清志は細かいことは一言も言わず、ただ笑うと、机から身体を乗り出すようにしてオレの頭を撫でてくれた。 オレにとってはたかが一週間。 だけどこの手になでられるのはずいぶん久しぶりに感じた。 『ただいま、きょー兄 』 【 side 夢主な花 宮 】 真と入れ替わっている間ずっと側にいてくれたのは、なにも清志だけではなかったらしい。 レイこと火神や、黒子もまた、協力者だった。 オレと違って頭のいい真は、入れ替わったとわかるなり記憶喪失を演じていたらしい。 けれど原作というものを知っている火神がいたため、すぐに花 宮の中身が違うとばれてしまったようだ。 そこで火神と黒子が、真の協力者になってくれたらしい。 っというわけで、互いの状況報告を兼ねて、復帰祝いにと火神と黒子にマジバに誘われた。 チョコパイをおごってもらった。 火黒『「おつかれさま〜」』 花『おーお疲れ。っつてもオレは特に何もしてないがな』 火『お帰りなさい先輩。 でもこっちでは一か月間、“花 宮真”ってばすごい苦労してましたよ』 黒「そうですよ。花 宮さんの不幸体質を背負わされた一般人、なんてかわいそうなんでしょうか」 花『ん〜でもなぁ、あれは別の世界のオレだぞ。それくらいなんとかなるかと』 火『なってません。向こうの花 宮さん、めちゃくちゃかわいそうなことになってましたから。 そういえば向こうからはどうやって帰ってこれたんです?』 花『なぁに簡単さ。衝撃をくらって意識が飛んだら、元に戻ってた。それだけだ』 火『衝撃って・・・たたけば直る旧型テレビのように言わないでくださいよ』 花『イグナイトくらったんだよ。向こうの“友”に』 黒「ああ、すみません花 宮さん、向こうのボクが。 きっと向こうのボクは花 宮さんとの誤解がとけていないんでしょうね。マコトさんでしたっけ?ずいぶん可愛い性格でしたよね」 火『ツンデレですね。わかります。黒子はすっかり“友”ってよばれて意気投合してたなー』 黒「向こうの花みじゃなくて真さんとは、本の趣味が合いました」 花『あれ?“友”、オレとは仲良しじゃないのか?』 黒「貴方と共感できるのは身長だけです。 花 宮さんの選ぶ本は外国語ばかりで共感できませんし、真さんは日本語ですから」 火『あのひともゲスイ態度とらなければ、いいひとだったな』 花『今度はオレも直接会ってみたいな。向こうのオレに』 黒「そうですね。花 宮さんと真さんが並んでるところみてみいたいです」 花『いつか、な』 火『それ、お得意の勘ですか?』 そうだな。 勘が告げている。 やたらめったらとはずれることがない勘が、いつかわからないまでも この喜劇に“また”があるのだと。 ふはっ。 ああ、それは――― 花『楽しみだな』 クシュッ! 花「うぅ・・・嫌な予感がする」 原「大丈夫マコト?風邪ひいちゃった?」 古「今日は寒いからな。真、手袋は?」 山「だからマフラーだけじゃなくて上着ぐらい着とけって言っただろ。ほらマコ、ホカロンやるからこれもっとけ」 花「ちが…風邪じゃない。ちょっと寒気がしただけだ」 瀬「・・・まさか、な」 ―――二人の花 宮の入替劇は終わった。 しかし それはただひとつの終わりにすぎない 終わりの先にさらなる始まりがあると “その先”があると誰が想像しただろうか そう。 物語は、まだ・・・ はじまったばかりだ U←BackUTOPU |