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10.波の国へ Lv1 |
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(VolではなくLv。誰かの脅威レベルを示しています) -- side オレ -- 「なんで今日は三代目なんですか?」 捕まえたネコを依頼者マダムシジミに手渡したところで、カカシ先生が不思議そうに首をかしげた。 任務を受け取る場所にいるべき火影は、今回は四代目ではなく三代目だった。 オレ、サスケ、サクラちゃんだけが瞬間的に事情を察する。 それに三代目のじいちゃんと、三代目の秘書を勤めるイルカ先生を含めたこの場の全員の視線がオレに向けられるのが痛い。 今すぐこの場に土下座して謝りたくなるのはなぜだろう。 いや…たぶん、事情を知らないカカシ先生がいなければ一も二もなく土下座をすぐにでもやっていたかもしれない。 いまはみんなから視線をそらすように、ふいっと顔をそらした。 「……いや、なに。ちょっとやっかいな依頼人がおってのぉ。 ミナトはそちらの対応しておるんじゃよ」 「そうなんですか」 カカシ先生の不思議そうな顔に、事情を知っているがために三代目の秘書も行っているイルカ先生が、そうですよと引きつった顔で頷く。 チラリと先生の視線がオレへ向けられ、いたたまれなくなる。 …今度はなにをしたんだ親父よ。 そうこうして。 オレは今すぐ里を逃亡したくなり、つい里外任務がいいな〜と呟いてから、ハッとして口をふさぐ。 だけどサクラちゃんもサスケもいいかげん子守とか芋ほりとか、雑草抜きとか飽きていたようで、オレの呟きに頷いている。 三代目は成長する子供たちを嬉しそうな目で見るように……オレたちにCランク任務を許可した。 現れたのは、原作でイロイロ&ゴタゴタあったあの波の国編を知らせるもの。 「なんだァ?超ガキばっかりじゃねーかよ!」 酒の匂いを漂わせてドドン!と現れたのは、ナズナさん!…じゃなくてタズナさんだった!! 一文字間違った!? ま、いいや。 それより、これは確実に里外任務決定ルートじゃないか!? ど、どうしよう。 「……とくに。そこの一番ちっこい超アホ面の…黄色くて赤いの。お前、そんななりで本当に忍者かぁ!?お前ェ!」 「忍者だってばよ!しかも髪の毛は地毛だー!!」 たしかにオレは忍者にしては派手なオレンジのツナギ着てるし、髪も目立つ金髪にさらには赤色メッシュっていうド派手カラーだけど…。 「こいつらにまかせて大丈夫なんか!?」 って、いわれると―― 「だめだってば…オレ、だめもうだめそう」 大丈夫かといわれると、ダメって言いたくなる。 だってこの後、波の国編だよね? それって里外任務だよ。 今更ながら、オレは嫌な予感がして、自分の口の軽さに後悔した。 この後の父ちゃんの暴走ぶりを想像してしまって、オレはその場に倒れた。 意識を失いかけたとき、「こんなんで本当に大丈夫なんかいのう」とタズナさんの呟きが聞こえた。 ++++++++++ たしかに、里を出るのはオレの夢だった。 原作同様に、波の国の依頼があるまでオレは里の外に出たことがなかったから。 だからやっとでれると喜ぶべきなのだろうけど、本当に喜んで言いか物凄く悩む。 「…ねぇ、今更気付いたんだけどナルト。大丈夫なの?」 「"アレ"が里の外に出たらやばいんじゃないか?」 「あ〜、やっぱそう思うってば?」 もうすぐ水溜り。 遠くの地面にキラリと輝くものをみて、そっちの方もどう対処しようかと考えたところで―― 「わかぁーーー!!!」 「若!若!若ぁ!!いかないでください!!おねがいですっ!!我々を見捨てないでください!!」 「いまなら里に戻るには十分な距離ですから!どうか里にお戻り下さい!!」 敵ではなく、同じ里の人間から声をかけられた。 オレに向かってくるのはそっちが先か!?と、冷や汗がこぼれた。 響いた声とともにやってきたのは、お面の隙間から汗だか涙だかわからない水を滝のように流して、姿さえ隠すこともせずバタバタと後を追ってくる暗部装束4名。 あぁ、もうきたのか。 泣いているお面たちをみて、ヒュ〜っとオレの魂は一気に昇天しかけた。 サクラちゃんとサスケが見慣れた面をみて、ハ〜と深い総ため息をついた。 「「……やっぱりきた」」 「なっ!?暗部がなぜ!?え?若って?ってかサクラもサスケもなんでそんなに平然とため息までついちゃってるの!?」 カカシ先生だけが、突然の暗部の来襲に珍しく驚きをあらわにしていた。 「なんじゃいこやつらは?」 里から後を追ってきたのが明白な四人からいち早く逃げようとしたオレだったが、相手は暗部。 気付けば逃げるまもなくオレは四人にしがみつかれていた。 それにタズナさんが、怪訝な顔をする。 説明したいけど、こういう状況になると、時期に父ちゃんが来るのは13年という経験から熟知している。 だから説明は呆れて肩をすくめているサクラちゃんたちにまかす。 オレは逃げる! っが、しかし。ガシッ!とオレを四方から掴む相手は、簡単には離れない。 「離すってば!!オレは里から出たいんだってばーー!!!」 「このままでは若が帰ってくる頃には里がなくなってしまいます!!」 「だからって一生オレに里の中で暮らせって言うんかい!!」 「せめてあの方を説得してからにしてください!!」 「保護者同伴で任務なんていけるかー!!そもそも母ちゃんとじいちゃんには伝言したってば!!三代目とはいえれっきとした『火影』がオレの里外任務許可したんだってば!責任は三代目のじいちゃんに押し付けてくれってばよ!」 ブンブン体をふるので、頭の上からずれおちかけたキューちゃんが、ひっしでしがみつくので髪がひっぱられていたい。 それより本当に勘弁してよ。 責任転嫁にツッコミを返したら、すでに三代目のじいちゃんは、"アレ"の対応をしていたことが暗部一行様により判明。 なるほど。 だから任務選びのとき、あそこに父ちゃんがいなかったのか。 「大変です若!先程三代目が施した結界が破られました!!こちらへむかっているかと」 「んなっ!? あぁ、もう!キューちゃん、【死式】つかっていい!?」 『キュウ!キュイ!キュイ!!(ばっかもーん!!あんなもので殺してどうする!?)』 「だって"アレ"を里の外にだすわけにはいかないってばよ!?」 『キューイ!キュ〜ン(だからといって自分の里の長を殺す奴がどこにおるか!!)』 暗部の報告に焦ったオレがキューちゃんと会話をしていると、ハァ〜と溜息をついたサクラちゃんが、オレの肩を掴んでゆさぶった。 「落ち着きなさいナルト!それ以前にカカシ先生もアンタもいるんだから"とんで"くるわよ!!」 "飛ぶ"その言葉にサスケとオレがハッと思い出す。 そうだ。あの金色は空間を飛ぶんだった。 「とりあえず結界でカカシ先生を囲めウスラトンカチ!!そうすればさすがに"とんで"これないだろうが!」 「そ、そうだったてばね」 オレより先に我に返ったサスケに言われて、キューちゃんに向けて頷き、力の供給をしてもらい、勢いよく空間を遮断する結界をカカシ先生の周囲に張り巡らせる。 呆然としているカカシ先生には悪いけど、絶対体のどこかに『避雷針の術』をつけられているはず。 せめてカカシ先生をめがけてこないようにしたところで、サスケがオロオロとしている暗部たちを叱咤した。 「ほら!暗部のあんたらも!!ナルトを押さえてねーで"アレ"をさっさと探せよ!!」 「「「「ハッ!!」」」」 「あ、暗部が何でサスケの命令聞いちゃってんのー!?」 結界の中でカカシ先生がマスクの上からでも分かるほどあんぐりと口をあけて、目をぽっかりとあけてパニックにおちいっていた。 もう任務どころじゃない!! 早くあの黄色対策をしなければ!!タズナさんのことはサクラちゃんにまかせ、サスケが周囲を警戒している間に、オレはまたキューちゃんからチャクラを借りて結界を張りつつ瞬身で逃げる準備をする。 オレには本当にチャクラがない。 しかもどんなに修行しても増えないのだから致し方ない。 かわりにチャクラコントロールは、綱手のばあちゃんを超える自信はある。 そんなわけで大技一回ごとにキューちゃんからチャクラを補充しなくちゃいけなくて、どうしても手間がかかってしまう。 そこへ、シュタン!と音を立てて暗部が一人戻ってきた。 「若!」 「今度は何だってば!?」 「敵です!」 「"アレ"の方がやばいから切り捨てろってば!!」 「御意!!」 シュン!と音を立てて消えた暗部に、カカシ先生がギョッとするも慌てたように止めようとする。 「あ、ちょっと待っ…」 「若の御身を狙うとは不届きなー!!!」 「そこ違うからぁーー!!まだ何もしてないでしょーに!!」 水溜りだった二人の忍はいつのまにか、周囲の林に隠れこんでいたらしく、すでに水溜りはなかった。 かわりにとちくるった暗部の「成敗!」というかっこいいが忍らしくない雄叫びと、カカシ先生の絶叫、「ぐわっ!!」という敵さんの声が次々に響いた。 「そこで殺しちゃぁだめだろ…。あーあ、敵が誰をねらってるかわからなくなっちゃったじゃないの」 カカシ先生が一部モザイクのかかった風景をみて、額に手を当て空を仰ぐ。 たしかにね。 ここにはねらわれてもおかしくない者しかいない。 命をねらわれているタズナさん。 木の葉1のコピー忍者といわれるカカシ先生。 血継限界・車輪眼をもつうちはの天才児、うちはサスケ。 それに四代目火影の実子なオレ、うずまきナルト。 しかもオレってば、実は人柱力だし。この九尾の器っていう事実は三忍もしらない。知っているのは火影と上層部だけ。 カカシ先生は、父ちゃんの本性を知らないけど、オレが四代目の息子であることを知っている数少ない人物。 そりゃぁ、オレがねらわれてると思ってもおかしくないよ。 サクラちゃんは普通の一般人だけど、五人中四人が里の重要人物だと、さすがのカカシ先生もこの中の誰をねらってんのよーって思うよね。 でも、それなら大丈夫。 なんたってオレ、NARUTOの漫画読んでたから、理由もしっかり知ってるよ。 「センセー。あいつらは鬼兄弟っていって、ガトーの手下だってばよ」 「ナルト?」 「大丈夫だってば。あんなん雑魚だから。だってこれからもっと凄いのでるし…(父ちゃんとか)」 「ナルト…お前知ってたのか?(たしかに。相手がガトーなら次はもっと強い敵が来るだろうな)」 なんとなくカカシ先生がイロイロ誤解してる気がする。 凄いのって、『次にくるのは中忍かそれ以上』って、アレのことでも桃地再不斬や白のことじゃないよ。 なにが凄いって、超過保護具合が凄いんだよ。父ちゃんのね。 敵の目的は分かったから大丈夫でしょ? そう言ってカカシ先生に安心させるよう笑ったつもりだったけど、遠くのほうで「ナルくぅ〜ん!」という物凄く小さな声を聞いてピキリとオレの動きは止まる。 まだまだ距離はあるけど、キューちゃんの耳がピクリと動き、警戒してかオレの頭上でフーと毛を逆立てて威嚇を始めた。 遠くから何かが走ってくる音に暗部もカカシ先生も気付いたようだった。 オレは任務も忘れて走り出した。 ぞくに一人で逃げたともいうが、とにかく「うわー!!」っと悲鳴を上げて、背後さえ見ずにがむしゃらに走った。 ビュン!! そんな風を切る音が背後からして、ガバァ!!と金色に捕まった。 さすが『木の葉の黄色い閃光』と異名を持つだけはある。 避雷針の術が使えないと分かったら、今度は自らの足で走ってきたようだ。 オレはチャクラ利用だったけど、逃げ切れなかった。 「ナル君ひどいよ!パパ、クシナとナル君に会うために一生懸命働いてたのに里をでちゃうなんて!!」 「はなすってばよ〜!!」 「「「「火影様!!仕事にお戻り下さい!」」」」 「せ、先生!?」 「次から次へとなんじゃなんじゃぁ!?」 「四代目!ナルトを離してください!!っていうか、里の外ぐらい出るわよ!わたし達任務なんだからぁ!!」 「そんなに離れたくないなら、忍なんかにさせるんじゃねーよ!」 「ふぎゃーーーーーーー!!!!」 っと、それぞれがそれぞれの驚きやらなにやらつっこみどころ満載の反応をみせた。 ちなみに金色が遠目に見えた時点でもうだめだと理解し、カカシ先生とオレにかけていた結界はといた。 その分チャクラ供給を自分の身体能力を上げるのに持っていったけど、やっぱり火影の名はだてじゃないと思った。 現状――暗部四人がまた泣きながら父ちゃんにうったえかけ、タズナさんは『四代目火影』という派手文字を背負っている父ちゃんに眼をパチクリとし、予想外の人物の登場にカカシ先生はさらにパニックになって目玉をかっぴらいて驚き、サクラちゃんがオレにだきついたまま握りつぶさんばかりの父ちゃんをひっぱりはがそうと奮闘し、サクラちゃんのサポートをしようと羽織の裾をひっぱっていたサスケがつっこみをいれ、父ちゃんに挑みかかろうとしたキューちゃんはあっけなく放り投げられている。 オレはあらんかぎりの力で抱き潰され、ほっぺが赤くなるほど頬擦りをされた。 あばらも頬も痛かったです。 ++++++++++ 「なんと。あんたが今代の火影じゃったのか」 「ええ。ちょっと野暮用があったもので、三代目にご無理を言って仕事を代行してもらっていたのです」 ――野暮用?ちょっと? 仕事を抜け出して息子の後を追ってこようとするのが、ちょっと? ああ、それにしても本当に父ちゃんの笑顔はまぶしいね。 ハハ。 もう勝手にすればいい。 オレはサクラちゃんに、赤くなった頬にシップを張ってもらいながら、依頼人に護衛任務のおかしなところをついてガトーと波の国の話をちゃっかり聞きだした金色を視界から見ないよう視線をそらす。 あ、暗部さんもよかったら一緒にお茶でも? 「…ねぇ、ナルト」 「なんだってば?」 少し離れた場所で、タズナさんとお話をしている父ちゃんをみて、カカシ先生が話しかけてきた。 さっきの親バカまるだしの波風ミナトを見たことのなかったカカシ先生にはいろいろとついていけないようだ。 先生の視線が、父ちゃんとオレたち七班を不安そうに交互に見比べている。 サスケとサクラちゃんは、あの鈴取り合戦の日からもう何度も父ちゃんと、それを追う暗部を見てきているのでなれたものだ。 通称四代目捕獲部隊である暗部さんもいまではオレ絡みの父ちゃんの事件は、緊急事態(火影逃亡によりオレがパニックになっているとき)などでも的確で冷静な判断をするサスケとサクラのコンビの指示を仰ぐようになってしまったほど。 現に七班の下人たちは、暗部の皆様のおしゃくつきでまったりお茶を飲んでいる。 あ、お茶はオレが持参した。 火影らしい爽やかな笑顔と真剣な表情を巧みに操って、これみよがしに相手を信頼させている父ちゃん。 これだけみたらいたってまじめだし、頭よさそうだし、かっこいいし、里一番の忍といわれても頷いてしまうだろう。 だけどね。 「ねぇ、ナルト。先生…四代目火影様って」 「あれは営業用の火影モード。本性はただの親バカ」 「やっぱり」 オレがズズーっと茶をすする横で、カカシ先生は父ちゃんを一瞥したあと遠い眼差しをしてかためしか見えない眼を空へと向けてしまった。 なにかブツブツ言ってるけどしったこっちゃない。 あ、でもひとつ言っておかないと。 「カカシセンセー」 「ん?」 「里の威信にかかわるので"アレ"のことは内密に頼むってばよ」 波風ミナトの本性は、里でトップクラスの極秘事項です。 ついでにそれを言ったら、「だから三代目はまだ火影邸にいるのね」とカカシ先生は頷いた。 その眼がすでに死んだ魚のように胡乱下だったのは……みなかったことにしよう。 「火影様…」 「あぁ、わかってるよ。それではタズナさん。ボクはそろそろ仕事に戻らないといけないので。 任務の件は申し訳ありませんがBランク扱いになるでしょう。その後の話は、この任務が終わり橋が完成した後というこになりますがかまいませんか? では後ほど、話合いの場を設けましょう。 ……ナルト、無理はするんじゃないよ」 「わかってるってば」 タズナさんもいるし暗部たちにもうながされ、父ちゃんはうまく火影の皮をかぶったまま里に戻ってくれることとなった。 別れ際、父ちゃんが、父ちゃんと同じ色9割のオレの頭をなでて、一瞬心配するような表情を見せた。 そこにはいつもと同じようなバカさかげんはなく、真剣な表情をしていたから、オレは抵抗するでもなく頷いた。 本当は知ってる。 どうしてあんな過保護な親バカになってしまったか。 オレが人柱力だから。 そんなオレと母ちゃんを守るため。 生まれたとき、オレの中の九尾をねらった事件があった。 赤ん坊がオレでなければ、原作のように九尾は大暴れして里を襲い、そのせいで母ちゃんも父ちゃんも三代目の奥さんも死ぬことになっていただろうそれ。 『オレは精神世界の中で一度しか会えないより、こうやって生身で触れてほしい。 一緒に笑ったり、一緒に川の字で寝たり、一緒にご飯食べたりしたい。 それができる力があるなら、オレは力を使うよ。 もしも定められた未来があるのなら、未来が決まっているものだとしても…その力でもって変えてみせるよ』 赤ん坊であるオレの中に九尾が移っていたこと、マダラが突然死んだこと。そのとき発現したみたことない術式のこと――すべてを不可解に思った両親に、オレは変化をして話せるぐらいの年齢に化けると、ミト師匠のことや九尾、そして原作のことを話した。 オレの知る知識については"原作"ではなく"別の世界のナルト"として話を進めた。 そのときの父ちゃんの真っ青な顔は忘れない。 凄く怯えたような顔をして、オレと母ちゃんをいっぺんにギュって抱きしめてくれた。 『ごめんね。ごめんねナルト』 耳元で苦痛を噛み締めるように何度も呟かれたそれは、しめっけを含んでいた。 たぶんオレが漫画で見たナルトのことを話したから。里中に嫌われて、それでもずっと前を見て火影になった太陽のようなナルト。 そのときはかいつまんで話しただけど、その段階で抱きしめられる腕が強くなって、漠然と「あぁ、そっか」と気付いた。 その謝罪はオレにじゃない。 "向こうの世界のナルト"に対してだろう。 時がたってオレが変化なしできちんと会話ができるようになってから、"向こうの世界のナルト"のことを細かく笑いを交えて話した。 そのころにはもう父ちゃんはあんな――辛くて辛くてしょうがない、そんな顔をしなかった。 今の幸せなときを心から感謝してるのは、父ちゃんだけじゃなくオレも母ちゃんも一緒。 一緒だから、"向こうの世界のナルト"の話を笑って話せるし、聞いてもらえるようになった。 そしてマダラの起こした悲劇の数々が起きないように、父ちゃんは火影としてその任をこなしていた。 失わないために、父ちゃんはできるだけオレたちの側にいようとした。 ――まさかその結果が、あんな変態じみた追っかけになるとは思わなかったけどね!! 「ハンカチもったかい?あとティッシュとクナイと、起爆札は?忘れ物はない? お風呂のあとはちゃんと髪の毛拭いてから寝るんだよ。 そうだ。歯ブラシはもったかい?クシナがいないからって夜更かしはメッだよ! それとこれ。ボクの術を刻んだクナイだから、なにかあったらすぐボクを呼ぶこと!なくさないでね。 あと、いいかいナル君。あんまりチャクラを使っちゃダメだよ。君のチャクラは悪い奴を呼びやすいんだから。特にマダラとかマダラとかマダラとか。や、もういないのはわかってるけど別の奴が出るかもしれないから念のためね。 マダラみたいなストーカーじみた変態っぽい奴をみたらすぐ逃げること。わかったかい?」 ストーカーで変態はお前だー!! そう思って顔が引きつったオレは悪くない。 それからオレと父ちゃんが分かれるのは、さらに30分以上はたった後だった。 やっと帰れると、首がつながったと…暗部が泣いていた。 いい加減にしろとつっこんだオレに対し、父ちゃんは「いや〜!!離れたくないんだ!!」と最後の最後は、タズナなさんが目の前にいるのも関わらず叫んだ。 そのまま父ちゃんは金縛りの術をかけた後縛り上げて、四代目捕獲部隊にロープごと手渡した。 そうして父ちゃんと捕らえられた2人組みの忍という簀巻き×3を引きずって暗部の民さんは去っていった。 里に平穏があり続けることを願ってるよ! 初の里外任務。 護衛対象であるはずのタズナさんに、なぜか哀れみの眼で見られた。 なぜかカカシ先生の目が死んでた。 |