世界に笑顔を
- N ARUTO -



03.九尾の封印





 -- side オレ --





「お前が知っている流れとは少し違った未来になるかもしれないねぇ」

 オレの赤色のついた前髪をみて、ミトさんは穏やかに笑う。
精神世界にいる今のオレの姿は、原作のナルトの13歳の姿とまったく同じ。
だけど前髪の色が一部だけ赤い。
それを指摘されたときは驚いた。
だけどミトさんいわく、それだけ『うずまき』の血が濃いということだと教えられた。
血が濃いから、こうして九尾の封印場まで楽々これたのだろうとも。

本当に原作とは違う。
メッシュになった一部の赤髪を見て、ナルトがオレ自身の転生した姿というのも今なら納得できる。

 ちなみにオレの心をくらおうとして九尾に呼び出されて以降、生まれてもいないオレはこの精神世界に厄介になっている。
ミトさんには、修行をつけてもらい『ミトさん』から『ミト師匠』に呼び方も変えた。
今となっては、クシナ母ちゃん以外はオレぐらいししか使えない渦の国の技もある。
だからオレが生まれるまで、渦の国のことやいろんな封印術を教えてもらったりして過ごした。

ちなみにミト師匠のチャクラの期限は、オレが生まれるその瞬間まで。
どこかの創作サイトにあるように、九尾のチャクラで延命はできないのかと尋ねると、さすがに予想外の案だったようで目を丸くしていた。
やってやれないことはないだろうけど、今の状態の九尾が力を貸してくれるわけもなくその案は結局却下された。
ただ、オレが生まれたあとなら、オレ自身のチャクラでミト師匠の延命は可能かもしれないといわれた。
もちろんあくまで延命処置であり、"絶対"はありえない。
もしチャクラの消える期限を延ばせたとしても、オレが死ぬまで続くような延命にはならないだろうとも断言された。

「…今の段階では、わたしがいれるのもクシナの封印が一番弱まるときまで」
「うん。オレが生まれる瞬間だね。九尾の封印が一番弱まるんだったよね」
「ふふ。まさか死んだ後にもこうして可愛い血縁者にあえて、弟子までできるなんてねぇ。本当に世の中わからないものだよ」
「オレも。まさか初代火影の奥さんに会えるとは思わなかった」

 ミトさんのチャクラは、出産のため封印が弱まるだろううずまきクシナを支えるために残されたものらしい。
そのことはここにいるオレ達しかしらないこと。
だけどこのまま何もしなければ、原作と同じくオレが生まれたと同時に『うちはマダラ』がやってきて、両親共に死んでしまう。
精神世界という場所では原作と違う変化がたくさんあったが、たぶん現実でマダラがくるのは変わらないだろう。
なのでオレはミト師匠に修行をつけてもらった。
それに原作どおりの流れになってしまえば、オレの立場は物凄く悪いし、ずっと一人でいなければいけない。
そもそも前世からそうだけど、オレは意外とさびしがりやなんだ。
そんなのだまってられるか!
だから強くなりたくて、ミト師匠とたくさん修行をした。

 腹の中からでもいつも感じている優しく気遣う外の両親の気配に――未来を守ろうと思ったんだ。



「さぁ、ミトさん。もう少し抑えててね〜」
「あいよ。まかせなナルト」

『な、なにをする!?』

「「なにって"ミトナル式攻撃型封印術"」」

 オレが強くなれば、両親を救えるかもしれない。
一番の手段は、マダラと戦うこと。
だけど赤ん坊のオレの身体が生まれてすぐに動けるはずもない。そこで思いついたのが九尾だ。
九尾を始めから母ちゃんにではなく、オレに宿しておき、その力でマダラをとめる。
これだと思った瞬間、オレとミト師匠の新術開発の研究は始まった。

この術で一番やりたいことは母には気付かれないように、こっそりミトさんと二人で九尾の術式をオレへと移すこと。

 時間はたくさんあった。
この精神世界と現実での時間は同じではない。
無限にも感じるこの場所で、オレはすばらしい師匠を得たわけだ。
覚える時間も試す時間も新しく考える時間も十分すぎるほどあった。
その間に教わった術式をもとに、オレがアレンジを加えてオリジナル術式をあみだす。
もちろん実験台は…

『や、やめろー!!!』

チャクラの鎖でがんじがらめになていたキツネです。

 九尾――― 一言で言うなら禍々しい筋肉バカ。
人間みたいな姿のキツネってどうよ。
筋肉質だし。声が馬鹿でかくて煩いし。
チャクラは赤いし。
そんなのと仲良くなりたくない。
オレの中に入れるにはもっと圧縮しないとなぁ〜ということで、圧縮封印術なるものをミトさんとあみだしてみた。

「二人掛かりじゃないと使えないのもなんだけどね」
「いくよナルト」
「ほいよ!」

 二人で同時に印を組む。
ミトさんは動きを封じるための封印式を。
オレはチャクラを対象を指定するための術式を。

この二つの術式のあとで、第三・第四の印を組むことで新封印術"ミトナル式攻撃型封印術"は完成する。

 精神世界では精神の強い者が勝つのはドウリ。
ついでにオレの精神はそこらの忍よりもそうとう修羅場を踏んでいて、あげく捻じ曲がってガチガチに硬くなっている。
もうなんというか、オレ達子弟がそろえば最強タックです☆みたいな感じだ。

『グ、グワァァ!!おのれ!おのれぇーー!!!』

「さぁ、ふわふわもこもこの愛らしい哀願動物になってしまえ!!
そんでもってオレの中に封印されてしまえ!!そうしてくれると両親死なずにすむんで!!』

 オレとミトさんの印が同時に完成する。
それと同時にいままで九尾を囲んでいたミトさんの鎖の太さが増し、逆に九尾を押さえ込む布のように平らに広がって巻きついていく。

九尾は逃れようと何度も何度も暴れたが、それもやがてすっかり布に包みこまれてしまう。

「壱式発動」「弐式発動!」

 真っ白だた布の上に、墨で描かれたような文字が浮かび上がる。

 九尾をしばり閉じ込めるための布をつくりだしているのは、ミトさんの封印術。
その上に浮き上がった文字は、これから行う術が何を対象とするか定める空間指定。
そもそもこの結果術は、オレが前世で使っていた≪HUNTER×HUNTER≫での『念能力』を改造したもの。
"墨"という能力をもっていたオレが思いついた墨文字の効果は、指定内のチャクラを奪いますよ〜という指針をつける。いわばマーキングだ。
そして「参式」の印を結ぶことで、第三の術が発動。この段階で指定対象の周囲に術を張り巡らせる。
視覚効果としては、発動者のチャクラが光となって螺旋を描く。
そして最後の印で「四式」が、対象のチャクラを奪う。
これがオレとミト師匠の作り出した術式【死式(シシキ)】。
 今回は相手は九尾なので、それを改良した封印術だ。
その名も【死式・環呪封(シシキ・カンジュホウ)】。
「参式」まではまったく同じ肯定だが、「四式」の部分が違う。
この【死式・環呪封】は最後が、奪うだけではなくそれを循環させる。
相手のチャクラを利用して永遠に封印術を発動し続ける悪趣味な循環。
もともと十尾のチャクラが九つに分かれて分裂した一つである九尾もまた、チャクラの塊ということになる。
生きるチャクラというにふさわしい九尾にとって見れば、無限ループに等しい封印術だ。

そんでもって最後のしめに、【死式・環呪封】の封印術のありようとは、相手の力を術に還元し圧縮し続けるという非道技。

「さぁ、縮め!!四段階封印術最終幕『死式』発動!!」

 オレの言葉に従うように文字が光り輝き、白い布の上を走り出す。
全身を光が一蹴すると、赤いい光は螺旋を描くように周囲に放たれ、瞬間凝縮するように光はまた対象の内へと戻っていく。
とたん。

ぎゃぁーーーーーー!!!!

地獄の底から響くような悲鳴が聞こえ、白い繭と化していたそれはどんどん姿を変えて行く。

「あ、ミト師匠。ミト師匠!忘れてたけど、師匠の力借りていい?あいつのチャクラをオレに変換できるようにしたいんだけど」
「そんなことできるのかい?」
「うん。別の世界の父ちゃんがやってた。だけど今ならミトさんの術式だけで問題ないよ」

 九尾はすっかり小さくなって、腕に抱けるくらいのおおきさになると、布でできた繭はパリンと割れるようにはじけて消えた。
しかしまだ赤い光はグルグルと九尾の周囲を飛び交っている。

「【四象封印】を二度掛けすれば【八卦の封印式】。だけどここまで圧縮したあとならそんなの必要ないよね」

印を組んだミトさんがチャクラの鎖を出だす。
それを受け取ると、オレはいまだ発動中の【死式・環呪封】に指示をだす。
するとキュゥ〜と鼻を鳴らして、力なくぐったりとしたモコモコなキツネっこの身体を囲むように円を描いていた文字は、やがてザワザワと蠢き、仔狐の首もとの方へと移動した。
赤いい光の文字でできたいくつもの輪は、九尾の首を囲むとその身体に染み込むように消えていき、20近い文字のリングが首元に吸い込まれた時点で何も残さず消えた。
その首輪の部分にミトさんのチャクラの断片をまきつける。

「さぁ、これで君はオレのもの。母ちゃんを傷付けなんかさせないってばよ」

 ニヤリと笑ったオレに仔狐は辛そうにキュゥと鳴き、悲鳴を上げて逃げようとするが、それも鎖の先端を握っていたミトさんに阻まれる。
さすがは特殊なチャクラだ。
ミトさんの鎖は、オレが施した首輪のような封印術と連結され、その綱を「ほら」と手渡された。

「わぉ。ミトさんすげー!!」
「飼い犬はしっかりしつけるんだよ」
「ミトさん、ミトさん。オレ動物飼ったことないんだ。どうするの?」
「おや。お前でも知らないことはあるんだねぇ」
「うん、ない」

 結果。どこか人間ぽい筋肉質なキツネさんは、
ぬいぐるみのようにフワフワな姿へと無理やり変えられたのだった。
おいでおいでと手招けば、イヤイヤながらもオレの側にやってきて、抱き上げればおとなしく腕の中に納まった。
うん。ふわふわな毛ざわりが最高だ。
それからまだクシナ母ちゃんに気付かせるわけには行かなくて、母ちゃんによる封印の鎖でもって狐っ子をしばっておいた。
まだオレが手綱を持っているだけの状態。鎖をミトさんのものからオレのチャクラに変えるとき、それはオレが九尾のチャクラを扱えるようになるとき。
その最後の封印をオレが受け取るのは、オレが生まれるときだと決まった。





 それからオレの誕生まで、ミト師匠とぬいぐるみな九尾の仔狐とで、精神世界でまったりと日々を過ごした。
九尾はキューちゃんと命名された。

『もっとましな名はなかったのかナルトぉ!!』
「そうかい九尾の?可愛いじゃないかね」
「だよねだよね!あ、でも九尾がイヤなら"キューちゃん"はやめて"オッペケペー"とか?あるいは…」

"犬のように這いつくらせていただきます"
"アホマヌケオタンコナス"
"ビバ!ルパン三世、お前は四世だ"
"ナルト様万歳ワシはあなた様の下僕です"
"世界を正すためにマダラに復讐します"

「とか、色々候補はあるけどどれがいい?
全部イヤだって言ったら
"寿限無寿限無ウンコ投げ機一昨日の新ちゃんのパンツ新八の人生
バルムンク=フェザリオン
アイザック=シュナイダー
三分の一の純情な感情の残った三分の二はさかむけが気になる感情
裏切りは僕の名前をしっているようでしらないのを僕はしっている
留守スルメめだかかすのここえだめめだか…このめだかはさっきとは違う奴だから
池乃めだかの方だからラー油ゆうていみやおうきむこうぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺビチグソ丸"(銀魂より一部抜粋)って呼ぶから」

「それ全部で一つの名前かいナルト?」
「そう。なんならもう一回言おうか?」
『"キューちゃん"で頼む…』

キュゥ〜ン

と、シッポも耳もたらして項垂れる九尾に、ミトさんと二人で笑った。








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