有り得ない偶然 Side1
++ H0Lic ++
00.黒と白の邂逅
パキンと音がした。
すべてが崩れていくような感覚とともに、オレの魂は砕け散った。
以前から転生のし過ぎで魂が摩耗していたこと、複数の神々の力を得たこと、それらを抱え込んでいた器であるオレの魂が身のたけにあわない力にもたなかったためだ。
そうしてオレは魂の休養をするため、次元の魔女のもとに転がり込んだ。
:: side 夢主1 ::
暗い水の上。
ピチョーンと鳴り響く水滴の音。
側には本がたくさん浮いているのを確認し、どうやら自分はまたずいぶんと深い眠りの世界にやってきてしまったのだと知る。
この真っ暗な世界は、オレの精神世界だ。
つまりここは夢の中といっても過言ではない。
どうやら、魔女のもとにたどりついたあと、意識を保てなくなりこんな場所まできてしまったらしい。
何度この場所に足を踏み入れたことか。
深く深く沈んでいくようなそんな情景の世界。
あまりの陰鬱とした雰囲気にあきれ、胸の中に詰まった不快感を吐き出すようにため息を大きめについて、よっこらしょと上半身を起き上がらさせる。
しかし水に滑るのか旨く立てずまた水面に沈む。
みかねたのか、青い光をまとう黒い蝶が、水面の下から飛び出してきて、オレの前までくるとフワリと人型を取り、手を差し伸べてきた。
『ロジャー、いたのか。あんた随分とアクティブになったな』
《そこは喜んでおけ。それとお前に客人だ》
なんだか動かしずらい身体をロジャーのたすけをかりて立ち上がる。
ロジャーが正面の空間を見て手を掲げれば、真っ黒な空だと思っていた景色がはばたいた。
黒一色だった背景が、蝶になって飛び立つ。
そして黒から蝶、白は鳥へと。
マウリッツ・エッシャーの鳥の絵のように、背景と鳥と蝶が交差してまじりあうことがないのにひとつになっていく。
気付けば黒一色だった空間は、半分だけ白へと変わっていた。
白い空間にはたくさんの羽が空から舞っていた。
その空間で、オレは一人のこどもに助けを乞うように手を伸ばされた。
一つの願いとともに――