- 元死神「夢主3」の異世界旅行記 -
【幽霊週間】五日目. 消失
怪獣映画にでも出てきそうな声が聞こえて振り返ると、前に会った仮面のおばけみたいなのがまたいた。
『なんで君たち、オレのところばっかりくるかな?』
幽霊って、たぶん他にもいるでしょ?
そう思って首をかしげ…
今回こそ死ぬかなと思ってオバケをずっと見ていた。
身を守るためにはたたかわないと!な〜んてね。
普通に無理だから。
うーんと…マジで、このままだとやばいかな?
でもねぇ〜。
無理だろ。
だってオレ、現代日本人。
戦い方なんかコントローラーのAかBくらいしかやったことがない。
だから殺されたわけだし。
そもそも何日か前にも会った白い仮面オバケは、オレがのんきに話しかけたら、相手が勝手に成仏してくれたわけだけど…。
けど、こいつ…普通に人の話し聞いてないし。
「喰わせろ」を連呼しているだけ。
どっかの妖怪辞典に出てきそうな子鬼、餓鬼のような腹減りお面オバケに言ってやりたい。
いや、言うけどね。
『オレを喰うのはかまわないけど。
あんたに食べられた後って、オレは死後の世界にいけるの?』
保証なしで食わせろって、そりゃぁないよなと思うわけで。
オレに利益がないなら、とっとと逃げさせてもらおうかと思った。
答えは期待していなかったが、予想外にも一瞬動きを止めたオバケは、こちらを面白そうに見た後ゲハッハッハッハと蛙の鳴き声みたいな微妙な笑い方で、バカでも見るような目で見下してきた。
でかいなぁ。首が痛くなる。
お前はいつも下ばっか向いてないといけなくて大変そうだな。
ネコ背には気をつけろよ。
「いけるかヨォ!!お前みたいな弱い魂魄はそのまま俺の腹に入るだけヨォ!!」
あ、答えた。
なんだしゃべれるんじゃん。
ってか、ヨォヨォうるさいが、それがこいつの特徴なのかもしれない。
昔のヤンキーのようだ。いや、もしやラッパーか。
それにしても目の前のオバケは今まで見てきた中でも一等でかい。
そろそろ見上げてるのも疲れてきたし、首が痛くなってきた(幽霊だけどね)ので視線をそらす。
普通サイズの人間であるオレに対して、目の前のオバケのでかいこと。
そりゃぁ、上から目線になるのも仕方ないよな。
あ、オレ。あんまりそういうの気にしないからよかったね。
『あ、そう。じゃぁよそいって』
ドロン
「んなっ!?」
幽霊生活5日目。
さすがにコツもつかみ、最近では消える――つまり瞬間移動みたいなのができるようになった。
はじめできたときは、さすがに驚いた。
オレ、すげ〜とかも思ったり。
でも幽霊だからね。納得できた。
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言葉を話すオバケもいるらしい
ガイコツな死神もしゃべるのだろうか?
骨なのに?
声帯あんのかよ
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