01. 堂島家 |
今度は主人公になったようです。 つい最近までは、どこか時代劇風の世界に暮らしていた薬売りの弟子になっていた者です。 それがどういうわけか、現代社会で高校生をやることになりました。 ** side 夢主2 ** 「エブリディ・ヤング・ライフ・ジュネスっ♪」 大好きなジュネスのCMを観ながら歌う奈々子。 (・・・可愛いなぁ) 無邪気な姿が微笑ましい。 (年が離れていると、やっぱり感覚が違うのかね) 私自身にも妹がいる。しかし、これがまた奈々子と大分タイプが違うのだ。 正直私よりしっかりしてるし、年が3つと近いせいか奈々子のように守らなきゃという保護系ではない。 思い出せば出すほど・・・私、長女なのに姉だと言えない気がする(涙) (でも、ゲームをやった影響というのもあるんだろうな) 奈々子を無条件で守りたいと思うのも、周りの人たちを素直に信頼しているのも。 元来、私は人見知りかつ苦手な人には口下手。 けして、社交的な人間じゃない。 そんな私が、前の世界の薬売りさん―――そして、この世界人達と無難に付き合えるのは漫画やゲームの世界と認識しているが故だろう。 一方的な知り合い・・・それがトリップ後に私自身が生きるのに大いに助かっているのが何とも言えない。 (この世界、P4というゲームをプレイした以上、奈々子と距離を縮められるかもう判らないけれど) 思いの外、感傷的な自分に内心笑ってしまう・・・と、目の前に自分専用のコーヒーカップが置かれた。 「どうした。何か悩みごとか?」 「・・・・堂島さん。―――いえ、コーヒーいつもありがとうございます」 「これが俺の家の仕事だからな」 「俺、・・・・・堂島さんの淹れるコーヒー大好きなんですよ」 「そいつぁ、嬉しいな」 はにかむ堂島さんや、傍に来た奈々子を見て思わず胸が締め付けられる。 私なりに距離を縮めているつもりだけど、少なからずゲームを攻略したという影響は少なくない。 (こんな私だとしても2人と・・・皆と本当の絆になればいいな) しかし 「お兄ちゃんっ」 「」 まずは、私が“姉”で“姪”が正しい。 つまり表記てきにも“女”だと・・・いつ伝えるべきか。 問題はそこからだ。 成り代わりの影響で男と勘違いされているこの状況を打破することを考え始めよう。 |