【短編】 遺言の遂行 |
ハンター試験後のこと ---------------------------------------------------------- -- side ヒソカ -- 「ゴン=フリークス☆」 「え・・・」 名を呼んで振り返った相手を見て、ヒソカは一目で納得する。 試験の時は『青い果実』だということ以外は何とも思わなかったが、たしかにこれは“あいつ”にそっくりだ。 まるでゴンをかばうように前に出た仲間たちのするどい視線に、警戒されてる側のヒソカは満足そうに目を細めると、「いまはなにもしないよ」と告げ、「ハイ、コレ☆」と封のされたファンシーな封筒を手渡した。 「え?えっと・・・これ、なに?」 近づいてきたヒソカに警戒していたゴンは、可愛いうさぎの絵が描かれた封筒にキョトンとする。 表には丁寧なハンター文字で「ゴン=フリークスへ」とかかれている。 裏には、名前が署名されるだろう場所に、筆のマーク。 そしてなぜか2cmはあろうかというほど封筒が厚い。 この大きさでこの暑さと言えば金が普通だ。 まさか金かなにかだろうか? だけどそれをこの殺人狂で、自分と戦いたがっていたヒソカが渡してくる理湯がわからない。 案の定、ゴンを含めたクラピカ、レオリオも警戒は解かずに、意味が分からないとばかりに、封筒とヒソカを見やる。 ヒソカはそれも気にもせず、ポケットから【遺書】と日本語でかかれた同じようなファンシーな封筒を取り出し、そこから便箋をぬきつつ、ゴンと遺書をみながら確認していく。 クラピカは一瞬ハンター文字以外の独特の字に眉をひそめて、なにかを思い出そうとしていたが、他の二人はどこの文字だろうと首をかしげているだけだ。 「実は試験の時には気付かなかったんだけどね◇ 君に渡すように頼まれたんだよ☆」 「たのまれた?」 「それでお前がなんでそいつの言うこと聞くんだよ!信じられネェ!お前みたいなやつが!」 「まぁまぁ☆試験のことはおいといてよ。それでこれが遺言書」 「「「遺言書?」」」 「えーっと、ハンター試験にゴン=フリークスがくるようなら手紙を渡すこと◇ うん。これはいいね。ちょっと遅れちゃったけど問題はないよね◇ あとは・・・君宛だ☆ 『ゴン=フリークスへ。 勘違いがないように先に言っておく。それは金ではなくオレからの手紙である。 オレはオレであり、お前の親父を知る者である。 試験が終わった後でもいいので必ずすべて読むこと。途中で止めてくれるな。 ちなみにそこにはジンの居場所はかかれていない。 意地悪とかではなく、なぜならオレは、君がハンター試験を受ける頃にはこの世にいないからだ。 死んだ人間が生きている人間の居場所を知っているはずないだろう。まぁ、そういうことだ。 ちなみに今は1995年である。 もう時期にオレは死ぬらしいので、残念ながら本当にあのアホジンの居場所はわからない。知っていたら間違いなく教えてるさ。 オレはジンではなくゴンの味方だからだ。 まぁ、君がそのオレからの手紙を読んだら、オレにとってはジンへ復讐を遂げられたことになるので、別にオレに付き合って読まなくてもいい。 手紙は呪いでも呪詛でもなんでもない。ただのオレの愚痴である。 以上を踏まえた上で読むかは、君が決めればいい。 ま。頑張れ!』 と、ゴンに手紙を渡すときに言うこと。 ・・・・・・っていう文章が君宛にあるカラ☆」 「ふ、復讐!?」 「ほれみろ!いますぐすてろゴン!こんなやつにあづけた奴もぜってぇ普通じゃない1」 「レオリオ、すこしだまっていてくれないか」 「だがよぉクラピカ。こいつのこと、信用できるっていうのかよ」 「ん〜☆ボクのことは別に信用しなくていいよ。 ぼく、手紙預かっただけだし。 それに、どうだろ?愚痴ってかいてあったからには、愚痴を言うことが復讐・・・なのカモネ◇」 「え、えっと・・・ありがとう?」 「どういてしまて〜☆」 「えっと、ねぇ、ヒソカ。それより、これ、だれからなの?」 「だれって、ボクのパパから。君に宛てた手紙」 「「「パパぁ!?」」」 「そう、パパ☆その手紙にはジン=フリークスのことがかいてあるらしいヨ。ボクは読んでないから知らないけどね」 「親父を・・・ジンをしってるの!?」 「知ってるけどボクから情報を与えることは口止めされてるカラネ◇それに詳しいことはそこにかいてあるんじゃない?愚痴ってそのことだろうしね◇じゃぁね〜☆」 そういって去って行ったヒソカに、試験開始前から受験者の腕を切り落としたり試験管ごっこと言って人を殺したりしていたヒソカにはかかわらないようにしようとしていたゴンたちは、相手から話しかけてくるとは思わず腰が引けたままだ。 ヒソカが去ったとも、ゴンたちは渡された分厚い手紙をどうしたらいいかわからず固まっていたのであった。 「なにやってんだよヒソカ。さっさと帰ろうぜ」 ヒ「うーん、ごめんごめん☆この時代のパパからの遺言書をあの子に渡してたんだ」 「なるほど。きっと中身は愚痴の山だろうな。“未来のオレの”ってことは、いまよりもはるかに愚痴の内容が増えてそうだなぁ」 ヒ「うん◇封筒の厚さが凄いことになってた」 「ゴンもかわいそうになー。オレの愚痴に付き合わされて」 ヒ「死んでも師匠は人にインパクト大だよ◇」 |