【短編】 オレと兄弟子のハンター試験 |
-- side オレ -- はっきり言って無謀だと思うのだ。 「保長もそう思わない?」 群れる男衆に、思わず内心逃亡したいのをこらえていたらいつも以上に笑顔になってしまい、テンションが高くなった。 案の定、横にいた兄弟子の服部保長が、オレの心と反比例した表情金の動きを見て眉を寄せて頷いた。 「場違いだな私たちは」 「だっよね☆」 「奥方様は主上に見初められるための最終試験だと言っていたが」 「母様がうちの道場に関わるわけないって」 「だろうな。いったいこの人混みはなんだと言いたい」 能力を使ってにげてもいいだろうか? そう思った。 ハンター試験会場。 みごとな侍姿の保長の獲物は、日本刀だけ。 オレは念能力者だけど、ぶっちゃけ逃げるための能力しかない。 つまりこのままで死ぬ。 ハンター試験とはそういうものだ。 なにかしらの準備をすべきなのだ。 だってオレはちょっとお使い言ってきてと言われ、保長は昇格試験に必要なのよと母言われ、つれてこられたにすぎない。 二人視線を合わせて、頷いた。 考えたことは同じだろう。 思った――。 「「なんでオレたちここにいるんだろう」」 |